ニッケイ新聞 2009年11月14日付け
平成の元号を国民に知らせたのは竹下内閣の小渕恵三官房長官であった。墨痕鮮やかな「平成」の色紙を左脇に置きながらのTV出演であり、あの緊張したシーンの写真が忘れられない。あれから早くも20年がすぎ、さる12日には天皇即位20年の祝賀式典が賑々しく行われたのは真に悦ばしい▼政府の祝典もだが、皇居前広場では超党派国会議員らの「御即位二十年をお祝いする国民祭典」が開かれ天皇、皇后さまもとても嬉しそうに御礼を述べている。祭典に参加した市民らも「陛下にはいつまでもお元気で欲しい」と皇室の安泰を願っているのが頼もしい。大勢の参加者らと共に森喜朗元首相が音頭を取った万歳三唱もだし、日の丸の提灯を掲げての庶民的なお祝いも素晴らしい▼この平成21年のうちにはいろんな出来事があった。ベルリンの壁崩壊に始まるソ連や東欧の共産主義国家の敗北に始まり、平成13年(2001年)にはNYの世界貿易センターへの旅客機テロが起こり3000人超を死に追いやっている。これが原因でアフガンやイラン戦争が起こり,今もなお紛争が絶えない▼陛下も会見でこれらのことについても語られているし、国内では阪神・淡路大震災の悲劇があり、陛下も心を痛められている。広島,長崎や沖縄の慰霊もだが、サイパン島の「バンザイクリフ」を望み海に向かって黙礼する両陛下の姿は感動的だった。こうした悲惨さを直視しながらも、陛下は平和と繁栄を望まれておられる。こうした国民との結ぶ付きと絆を強めながら皇室の弥栄(いやさか)を願ってやまない。 (遯)