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日伯論談=テーマ「日伯経済交流」=第26回=飯星ワルテル=新政権の日本=日伯プロジェクトを継続

2009年11月14日付け

 麻生太郎政権が交代したのは9月半ば。私が会長を務める伯日議員連盟が真っ先に懸念したのは、麻生前総理のもとで社会経済、文化の面で良好に維持され、強化されてきた日伯関係である。
 麻生氏は日伯議員連盟の会長であり、また若い頃からこの国にとても友好的な人物として知られている。この退任で、私たちの心配は、「これからどうなる?」ということだった。
 東京での第50回海外日系人大会の招待状を受け取ったのは、鳩山由紀夫政権が誕生したのと同じ頃。日本の権力者と会って、麻生氏によって始められた日伯プロジェクトが新政権によって中断されないことを確認するために、絶好の機会だった。
 10月11日に公式使節として渡日し、4日間の過密スケジュールをこなした。始めの2日間は天皇皇后両陛下がご出席のもとで大会に参加し、日伯議員連盟との会合も行われた。
 同連盟の事務局長を務める藤村修衆議院議員は、30回以上も渡伯経験があり、若者の文化交流の推進者であり、また日伯の政治関係の重要な掛け橋となる人物だ。この会合で、私は安心した。
 藤村議員の情報によれば、鳩山総理はブラジルに対して興味と理解を示しているという。となると、前政権と同じレベルでの交流を期待できるだろう。新幹部になったが、見通しは明るい。
 高速鉄道やモノレールの日本方式導入プロジェクトや、日本でのブラジルエタノール販売の計画は中断されることはないだろう。それどころか、2014年ワールドカップ、16年のオリンピック開催決定は、両国に新しいパートナーシップや投資が築かれる傾向にある。
 もう一つの朗報は、鳩山首相が在日永住外国人への選挙権付与(地方公共団体の議会の議員、および長)の可能性をほのめかしているということだ。実現すれば、日本に根付いている何千ものブラジル人が、自分たちの願いのために闘ってくれる代弁者を選ぶチャンスが持てることになる。
 だが、私たち伯日議員連盟が最も期待するプロジェクトは、2010年の第1四半期に行われる予定の、社会保障の分野での両国間協力協定の署名だ。数年におよぶ交渉の結果、ブラジル社会保障省の専門家がこのほど東京に行き、公式使節により期待以上の結果を得たことが発表された。
 すでにこの起草案はできており、全て期待通りに進めば、在伯日本人9万人と在日ブラジル人27万人が、近い将来、恩恵を受けられることになる。この協定は、日伯議員連盟も望んでいることである。
 今回の公式訪問によって、政治や政党を超えた二国間の友情の絆が示された。政権交代こそしたが、日伯の関係は継続し、また成長するものと信じている。

飯星ワルテル(いいほし・ワルテル)

 ブラジル連邦政府下院議員、民主党(DEM)。ゼツリオ・バルガス大学を卒業後、北米カリフォルニア大学院で貿易学を学ぶ。伯日国会議員連盟会長。連邦政府消費者保護委員会副委員長。