ニッケイ新聞 2009年11月17日付け
サンパウロ州環状線の西側部分と南側部分連結用に設置したばかりのエンブー地区のコンクリート製梁3本が、レージス・ビッテンコウチ道に落ち、通行中の車3台を直撃という事故が発生した。
14~16日付伯字紙によると、事故発生は13日夜9時頃。悪天候やクレーン車故障などで設置予定の梁10本中、4本を10日に橋脚上に渡した後、1本がひび割れて折れたのに続き、他の2本も崩壊、落下した。
目撃者の中には環状線工事を担当するコンソルシオ職員もおり、大急ぎで駆けつけたが、各々が40メートル超、重さ80トン以上という梁の下敷きとなった乗用車2台とトラック1台を見て、消防に連絡。急行した救助隊が、瓦礫の下から負傷者3人を救出して病院へ運送し次第、瓦礫の除去作業が始まったが、レージス道の完全開通には約12時間かかった。
一方、23時半頃、州交通局長と共にヘリコプターで現場到着のセーラ知事は、早急の原因解明と被害者への補償を命じたという。
16日の時点では原因の完全解明はなされていないが、問題となった環状線南側部分は、予算を大幅に上回る請求や、契約書にある材料とは異なる材料使用など、連邦会計監査院から問題を指摘されていた工事の一つ。
長雨による工事の遅れにクレーン車故障などが重なり、7~10日に延期された梁を載せる作業は更に遅れ、レージス道管理会社に正式通告もせず梁を載せ始めたのが10日。本来なら4日で10本載せ、固定作業も行うべき作業は、1日で4本載せた所で中断し、14日に再開予定だった。
今回の事故では、2週間前、運送中の梁1本がひび割れて落下した事もあり、崩壊した1本も、運送または成型中に目に見えない程度のひびが生じていた可能性がある。
固定作業をしてない梁がレージス道の振動で落ちた、梁固定用の橋梁側設備不備などの可能性もある一方、7本ずつ設置されるはずだった梁を5~6本に削減している事実も判明。工事手法の問題や技術者の訓練不足に加え、会計監査院指摘のより廉価な材料使用と共に、材料カットによる手抜き工事が原因である可能性も出てきている。