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サンパウロ市民の一大関心事は?=教育、健康、環境、治安=教師育成懸念の声は50%も

ニッケイ新聞 2009年11月19日付け

 非政府団体(NGO)モヴィメント・ノッサ・サンパウロ(MNSP)の調査によると、サンパウロ市民の生活向上に最も大切なのは教育と18日付エスタード紙が報じた。
 サンパウロ市民の生活向上のため、6月から9月に、3万2千人を対象に行なった調査結果の一部が17日に発表されたもので、生活の質向上のために大切なものはとの問いに、教育を挙げた人は58・89%もいたという。
 交通渋滞解消のための工事の話などはしばしば耳にするサンパウロ市だけに、交通問題改善を挙げる人が多いのではとの予想を裏切った数字で、市が力を入れる交通問題は、市民が案じる項目の17位と大きく水をあけられた。
 一方、16歳の州立校生が「学習しなければ、町や世界は前進しない。教育抜きの共生はありえない」とまで答えた教育問題では、回答者の50%が教師の質、40%は自宅に近い保育所の定員確保を懸念したという様に、懸念材料も様々。
 これに対し、サンパウロ総合大学教育学部マリア・アンジェラ・B・カルネイロ教授は、現在の社会の動きは現実に逆行しており、「このままいけば、近い将来、教師になりたいと思う人はいなくなる」と発言。
 マルジナル・チエテの車線や地下鉄の拡張、環状線建設など、目に見える事には政治家も力を入れるが、目に見えにくい教育などは、政策上、二の次、三の次になり易い現状を指摘したものだ。
 もちろん交通問題も大切であることは確かで、地下鉄延長を求める人は50%超。これに対し、国家陸路輸送庁長官は、安全性と時間の正確さを期待する市民の声を反映と評価するが、それでも、全体としての回答では、交通問題を挙げた人は17・71%だった。
 MNSPサイトには、成人回答者で生活は少し改善と答えた人が25・97%、変化なしと答えた人が19・26%とあり、優先政策と市民の願いの間に差があることも感じさせる。大切なものとの回答で、保健所や公立病院の医者や看護婦不足などの問題のある保健衛生56・30%、洪水頻発などが問題の環境関係49・54%、治安48・11%、雇用や労働41・62%という市民の声に、政治家はどんな回答を示すのだろうか。

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