ニッケイ新聞 2009年11月24日付け
PT(労働者党)が来年創立30周年を迎えるのに先細り現象が見えることで、裏金疑惑で失脚し最高裁で審理中のジルセウ前官房長官が、党執行部で指揮を採ることになりそうだと23日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
裏金疑惑が表面化して4年、かつてPT主流派を組織した面々が去り、党の全国的な衰退化が見られ、建て直しが迫られていた。PTはポスト・ルーラの2010年に、照準を当てた。PT創立時代の一騎当千の兵が前線を去ったため、往年の士気を欠いている。
党首選出では、ジョゼ・E・ドゥットラ上議が、ルーラ大統領とロウセフ官房長官の推薦で55%を獲得。また同上議の最高顧問として、前官房長官を呼び戻した。
PTにとって裏金疑惑は、まだ終わっていない。裏金疑惑は、公金を広告業者が裏金のように細工をしたもの。それに見返りを求めて、議員らに配ったもの。
被告席には前官房長官を始め、アダウト元運輸相やグシケン情報局顧問、ジョアン・P・クーニャ元下院議長、ジェノイーノ元PT党首などのPT要人が雁首を並べた。実際には1億レアルが動いたようだが、判明したのは800万レアルに過ぎない。
前長官は被告人であるが、ブラジル左翼史のかけがえのない人物で、PTにとって中興の祖といえる。前長官は2002年のルーラ選出の立役者であり、ロウセフ選出でも応援するようだ。
前長官を引き出した最大の動機は、連立党PMDB(民主運動党)との悶着を鎮めるためと見られる。被告人を政治活動に引き出したことで、検察庁の許可を得る必要もあると官房長官がいう。
前長官は党執行部候補に指名はされたが、公式には就任しない。前長官が実際に采配を振るうか否かは2月に本人が決めるようだ。