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派遣切り日系人助けたい=長野県=伊那「SOSネットワーク」=ボランティアのオハナさん帰国=地域ぐるみで支援活動=ビザ代払えない例も

ニッケイ新聞 2009年11月24日付け

 日系ブラジル人など多くの外国人が精密機械や、自動車部品の下請け工場などで働く長野県南部の上伊那地域。昨年からの世界不況を受け、同地域でも続々と労働者が解雇され、真っ先に日系ブラジル人などの派遣労働者が犠牲となっている。そのような状況の中、日常的に「まちかど健康チェック」のように簡易健康診断などを行っていた上伊那医療生協は2009年2月「SOSネットワーク」(水野耕介代表)を立ち上げた。同ネットワークにボランティアとして同年2月から7月まで参加していたオハナ・シルビア・レジーナさん(52、三世)が6日に本紙を訪れ、その現状を語った。

 オハナさんは2005年から4年間、長野県伊那市の工場で働き、2月に派遣会社を解雇された。同地域では、病気になっても保険に入っていない、保険料が払えない、食べ物を食べるお金もない、などという話が激増している。さらに、発給されたビザ代を払えない、仕事を探すための住民票が欲しいがその300円が払えない、といったこともあるようだ。
 同ネットワークは、同生協病院前にある組合員センターを拠点に、ボランティアが中心となって組合員や地域の人々に呼びかけ緊急支援物質を集めたり、その仕分けをしたりしている。ボランティアの中にはオハナさんのような日系ブラジル人も参加している。
 毎週土曜日に米や野菜、卵やカップラーメンなどを配給。乳飲み子がいる家庭には粉ミルクなども含まれているという。日系ブラジル人のほか、フィリピン人、中国人、ペルー人、パラグアイ人など100世帯以上が配給をもらいに来ているという。
 出稼ぎに行く前、オハナさんは中古の洋服などをファベーラに寄付したりしていたこともあり「一緒に工場で働いていた人たちもSOSを求めていた。何日も食べていないような彼らを助けたかった」と感じ、手伝うようになったという。
 ボランティア活動を通じてオハナさんは「苦しんでいる人を助けたい、と思う人が沢山いて嬉しかった」と感想を述べ、「上伊那地域の人々や、水野代表など関係者に感謝しています」とお礼を述べた。
 オハナさんによると、今年、経済対策の一施策として実施された定額給付金を寄付した夫婦や、土地や畑を貸し出しした人、生産者に働きかけ余剰の米を持ってきた米農家もいたそうだ。現在同地域ではボランティアとして参加していた日系ブラジル人も次々と帰国しているという。