ニッケイ新聞 2009年11月25日付け
ホンジュラスのセラヤ大統領の復権がないまま実施される選挙を2週間延期するよう求めたブラジルの要請を23日、米州機構(OAS)が正式に否認と24日付けエスタード紙が報じた。
アモリン外相の指示に従い、ブラジル外務省のヴェラ・マッシャード政務次官が17日、ウイリアム・バンズ国務次官をワシントンに訪ね、選挙実施は、セラヤ大統領の復帰について同国議会が決議する2日以降にするよう、要請したもの。
米国側は即時返答をしなかったが、何ら措置を施さずブラジルの要請を無視した。ホンジュラスの和平交渉に何ら進展がないことで米政府は、選挙の強行実施に踏み切る意向のようだ。
11月1日にサンホセ・テグシガルパ協定が調印された。それを17日まで看過したブラジルが選挙直前、延期を要請したことで米政府は無視する方針と見られる。
上院外交委員会のリチャード・ルガー上議(共和党)は先週、ブラジル宛に、セラヤ氏の政権復帰の有無にかかわらず、29日に実施される選挙の結果を認めるよう求める文書を送付してきている。
同上議によれば、中米各国の代表が選挙管理委員として参加するガラス張り選挙を行うなら、地域各国もその結果を承認すべきで、それが、ホンジュラスの政変問題を解決するための唯一の方法だという。
これに対し、ブラジルは、セラヤ大統領を幽閉したままの選挙に、アモリン外相が異議を申し立てた。
ブラジルはセラヤ復権がない選挙は認めないと通告したが、米国は代案を提示しなかったとして無視。他にも米政府関係者には、ブラジルに対する不満がうっ積していたようだ。土壇場にきて選挙延期は最早、聞く耳を持たないという態度だ。
一方、23日のOAS臨時総会での米政府の選挙承認発言に対するコロンビアとペルーの米案支持は、ブラジルにとり、5日締結のリオ・グループ協定違反だ。伯案支持を表明していた両国が、土壇場で寝返った。ブラジルは虚仮にされたようだ。
OASの亀裂は、米国とカナダ・メキシコ、コロンビア、ペルーがブラジルやボリヴァリアナ諸国と一線を画したことで現実となった。ホンジュラス選挙の是非に関するOASの最終決定は、2日に予定されているセラヤ氏復権についてのホンジュラス議会の決定を待って持たれる4日の臨時総会に持ち越されたが、政変の合法化を試みる臨時政権のお膳立て通りに進んだ。