ニッケイ新聞 2009年11月25日付け
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は、13日サンパウロ市内のインターコンチネンタル・ホテルで「11月定例懇親昼食会」を開催した。大部一秋在聖総領事ら約120人が出席する中、アントニオ・パロッシ・フィーリョ前財務大臣(現連邦下院議員)が「金融危機後のブラジルの展望」について講演を行った。
パロッシ氏は、ブラジルが債務危機を乗り越え、外貨準備高が対外債務を上回り、IMFへの貸し付けを実現したことに触れ、「長期の安定した経済成長を遂げる体制が整った。ブラジルは積極的な国際金融の従事者になる」と強調。
過去最高の2322億ドルとなる外貨準備高や原油・天然ガス、エタノールなど再生可能エネルギーからなる天然資源が経済成長の礎になると示唆した。その上で、日伯ビジネスの発展に期待を込め、「日本からの直接投資、日本企業のブラジルでの活動を支援していきたい」と呼びかけた。
また、パロッシ氏はルーラ政権下で経済は飛躍的な進歩を遂げたと述べ、次回選挙に言及して今後は児童教育や社会保障、裁判制度、信用貸付制度などで構造改革が必要と見解を示した。
在ブラジル日本国大使館の澤田洋典参事官は、「2010年大統領選を巡るブラジル政治情勢」というテーマで講演。
ルーラ政権の積極的外交政策から、今選挙のポイントにも外交方針が重要視されるほか、新たに環境・気候変動対策に焦点が当てられるのではないかと予想した。
さらにメディアはPSDBを支持、与党を批判する傾向があると指摘したほか、ルーラ政権の支持率(80%)や電子投票システムが選挙結果に影響を与えるのではと推測した。
同参事官は今後のブラジル政治動向の注目点として、PTとPSDBの二極化、右派政権の不在、上院問題(汚職、腐敗問題)などを挙げた。
昼食会にはパラナ州マリンガ市のシルビオ・バーロス・セグンド市長も出席し、日本移民百周年記念事業で造成された「パルケ・ド・ジャポン(日本公園)」を紹介した。
同公園は10月11日に体育館の落成式が行われ、整備が進められている。同市長は「民間団体にも参加して欲しい。マリンガ市と日系コミュニティに協力を」と、参加者に建設及びメンテナンス費となるリッファの購入を呼びかけた。
このほか、監事会議長の山田唯資氏から第3四半期監査報告が行われたほか、新入会員のブラジル・アステラス製薬が紹介され昼食会は閉会した。