ニッケイ新聞 2009年11月25日付け
仕事を失い、生活に困っている日系人を対象とした帰国支援制度の申請者が、制度がスタートした今年4月から11月半ばまでの間に計約1万6千人に達したことが23日、厚生労働省の調査で分かった。大半は製造業の「派遣切り」などで生活苦に陥った南米出身の労働者とその家族だ。
政府は日本在留の南米日系人は昨年末時点で計37万人程度と推定。自費で帰国した人も4万~5万人程度いるとみられ、6~7人に1人が帰国する計算だ。日系人の雇用や生活環境が極めて厳しい実情が浮かび上がった。
帰国支援制度は、鳩山政権による予算見直しで2009年度限りで終了する見通し。支援団体からは「日系人が路頭に迷わないよう事業を続けてほしい」との声が上がっており、政府の対応が問われそうだ。
同制度は09年3月末までに入国し働いていた人が対象。帰国を望む労働者本人に30万円、扶養家族には1人当たり20万円を支給。
都道府県別で申請者が最も多いのは愛知県の4485人で、静岡県の3486人、三重県の1241人と続く。自動車など製造業の工場が集まる地域が多い。国籍別では、ブラジルが1万4894人と大半を占めており、ペルーが600人と続く。