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ルーラ政権の総決算は=自信過剰の批判も=イラン支援で檜舞台へ登場=ブラジルの実力は本物?

ニッケイ新聞 2009年11月26日付け

 ブラジルはイランのアハマディネジャド大統領の良き理解者であることを内外に示したことで、世界注視の的であると25日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。先ずホンジュラス紛争では、ブラジルの政治が米国によって3流国扱いにされた。然るに経済は1流国並みで、外資の投資が144億5千万ドルで過去最高。ルーラ大統領は、イスラエルのペレス大統領とパレスチナ自治政府のアッバス議長、イランのアハマディネジャド大統領に続き、チリの次期大統領候補、チェコのクラウス大統領を迎えた。ルーラ詣ではたけなわといえそうだ。

 得意満面のルーラ外交に水を差したのは、米インデペンデント・インスティチュート主任のアウヴァロ・ヴァルガス・ジョサ氏。英誌エコノミスト特集の趣旨は、ブラジルの調子付き様を諌めたものと同氏がいう。
 国際社会の指導者となるための道程は長く、多くの人が同じことを考えている。世界は貧富の差が激しく、その中間にある国を見落としていたと同氏は評した。
 ブラジルは新興国のあり方を示唆しているようだが、疑問がある。ルーラ大統領は、社会経済による発展と国家の権威を錯覚しているという。だがそれは、思い上がりだと同氏が批評した。
 ブラジルは大衆迎合の社会主義をラテン・アメリカに培養し、それを国連安保理の常任理事国入りの足場にするつもりらしいとは、ルーラ詣での面々の見方だ。大統領からの国連改革協力要請を、チェコのクラウス大統領は黙殺。チリは、二枚舌外交の国だ。
 ルーラ大統領は、イタリア政府からの政治批判も免れられそうにない。ケーザル・バチスチ容疑者の身柄引渡し問題で、両国は微妙な関係となりつつある。同容疑者はイタリアの刑務所でなぶり殺しにされるよりブラジル刑務所での餓死を選んだが、ルーラ大統領の談話で考え直し、ハンガー・ストを24日中止した。
 ホンジュラス問題ではセラヤ大統領のために、ブラジルはオバマ米大統領に苦言を呈した。ホンジュラス選挙で、米政府がラテン・アメリカ代表を自称するブラジルの意見を無視したことで、不満の意を表明した。
 不満はドーハ・ラウンドに始まり、環境政策での行き違いなど、米政府に対する積年の恨みが破裂した。マルコ・A・ガルシア大統領顧問は、オバマ外交に失望を禁じ得ないとする声明を発表。
 オバマ米大統領は第2の金融危機到来の噂もあり、克服に失敗すれば任期遂行も危ぶまれることで、ホンジュラスどころではないようだ。米政府の南米対策はいつも後手であるのが、ブラジルの悩みといえそうだ。