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伯米関係の温度差修復へ=米大統領が書簡送付=些細ないさかい避ける=信用する唯一の男「ルーラ」

ニッケイ新聞 2009年11月27日付け

 ホンジュラスのセラヤ大統領復権がない選挙を否認したブラジル政府は25日、ミチェレッチ臨時大統領の一時辞任を条件に譲歩、疎通を欠いた対米関係の修復にマルコ・A・ガルシア大統領顧問が奔走と26日付けフォーリャ紙が報じた。同顧問の「ホンジュラスの政変に対する見方の相違は、伯米間の誤解がもたらした」という発言の返答として、オバマ書簡がブラジルへ送られてきた。同書簡は公表されなかったが、不要な摩擦を避けようというものであった。

 伯米間にはホンジュラスへの対処を始め、ドーハ・ラウンド、中東問題、環境政策でわだかまりがうっ積していたようだ。両国関係は、ホンジュラスを巡って対決姿勢へ変化していた。
 同大統領顧問は25日、ホワイト・ハウス安全保障担当官のジェームス・ジョーンズ将軍に電話し、「米政府に対する違和感がある訳ではないが、理解の不一致がある」と説明。オバマ政権の対南米政策に前向きな関係を期待すると述べた。
 同大統領顧問は、ホンジュラス臨時政権への要求事項で譲歩する意向を示しつつも、米方式の解決法は、新たな火種を残すと釘をさしたが、米将軍は一切の言及を避けた。選挙はOAS(米州機構)の各国代表による選挙管理委員によって実施される。
 オバマ書簡は、ガルシア発言が米政府の外交政策に妙な温度差を感じさせたとしている。ホワイト・ハウスは、オバマ書簡が意味深長で平易な内容だから公文書にするか迷ったようだ。
 また中東和平への仲介では、ブラジルがイランに国際信用を回復するように説得してくれというのだ。ブラジルは、米政府が抱くイランの核兵器保有に関する疑問や人権問題の実態をよく理解して欲しいという。
 米政府のケリー報道官は「オバマ書簡については言及しないが、ルーラ大統領は、中南米では、米大統領から信用された唯一の人間であることを自覚して欲しい」と述べた。「アハマディネジャド大統領の訪伯についても、米大統領がベネズエラなどの反米諸国とブラジルは別扱い」だという。
 ホワイト・ハウスは、イランと友好関係を保つ国が、これからの国際社会で新たな勢力を形成すると見ている。しかし、各国は夫々の国家主権を持つことを、米政府は認識していると述べた。