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生誕100年を祝うが如く=一生1度のやしの花咲く=B・マルクス設計の公園で

ニッケイ新聞 2009年11月27日付け

 1909年8月4日にサンパウロ市で生まれた風景作家ロベルト・ブーレ・マルクスの設計で、1965年開園のリオ市のフラメンゴ公園で、12本ものパルメイラ(やしの木)に花が咲き、リオの町を彩っていると、26日付エスタード紙が報じた。
 12本ものパルメイラの同時開花は、開園以来初めてだが、今年はB・マルクス生誕100年の記念すべき年。
 エスタード紙も「生誕100年の最大の表敬者は自然だった」との言葉で書き出している様に、死の直前に1度だけ咲くというパルメイラが、12本同時開花というのは不思議な出来事だ。
 パルメイラは樹齢80年前後まで生きる木で、マルクス自身、生存中には花を見る事はないであろう木を、「将来の人々への贈り物」として選んで、植えさせたという。
 スリランカ原産で高さ25メートルに育つパルメイラ(学名コリファ・ウンブラクリフェラ)の開花時は、繁った葉の頂に、直径8メートルに及んで、150万個もの薄黄色の小さな花が咲く。
 25日に写真を撮影したリオ市の公園・庭園基金(FRJ)技師は、「本当に絶景。この花が落ちると黄色いカーペットを敷き詰めた様になるんだよ」と感嘆の声。
 画家を目指してドイツに渡り、絵の勉強の一方で植物についても学んだマルクスは、1930年に帰国。リオ国立美術学校時代にも、美術作品としての閃きによる造形を行ったが、サンパウロ市に戻ってから本格的な植物や土壌研究を進め、1932年に自邸を建設。収集した庭園用植物用に1949年にリオ郊外に取得したシッチオ(農園)は、後に彼の名を冠した国定記念物に指定され、SRBMとして知られている。
 国内外で、風景作家または造園家、環境デザイナーとして知られるマルクスだが、国内作品も、サンパウロ市のイビラプエラ公園や、リオのフラメンゴ公園、コパカバーナのモザイクなど、数多い。
 1994年6月4日に亡くなったが、死後1週間の時、SRBMのパルメイラも1本開花。設計者の愛に応えるかの如く、生誕100年の年に咲いた公園のパルメイラの花に、SRBM関係者は「単なる偶然とは思えない」と述懐している。