麻薬が招いた家庭の悲劇=親が呼んだ警官が息子射殺=包丁手にした相手に12発も
ニッケイ新聞 2009年11月28日付け
ミナス州ベロ・オリゾンテで26日未明、麻薬常習の息子に手を焼いた父親が呼んだ警官が、包丁を持って襲い掛かってきた青年を射殺するという事件が発生した。
27日付伯字紙によると、殺されたのはクラックやコカイン常用の29歳の学生。バールで飲んだ後、仲間を連れて帰宅し、自室にこもって、麻薬を吸い始めた。
おばや父親は日頃から青年に脅されていたというが、青年の怒鳴り声などで目覚め、扉を開けるよう求めたが、断られてなす術を失った父親が軍警に電話。ところが、ここでも対話は成立せず、警官に扉を破られて立腹した青年は、包丁を手に警官に襲い掛かった。
攻撃を止めようと警官の1人がゴム弾2発を発射したが、包丁で2突きされ、脚に刺し傷も負った別の警官が、自己防衛のため実弾入りの銃を連射。12発撃った、いや銃声は16回だったともいうが、少なくとも胸に4発を浴びた青年は、病院到着前に事切れた。
近所の人達の証言によると、青年は数年来の麻薬常用者で、昨年までに数回の入院治療も受けたが、暴行に及ぶ事もしばしばあったという。
一方、思いがけない展開に最も驚き、悲しんでいるのは、青年の家族。
「足だけ撃ち抜けば、攻撃は止められたはずなのに」とのつぶやきは、時既に遅しで、刺し傷を負い、銃を抜いた警官は、その日の内に退院。ただし、事件の経緯や、過剰とも思われる防衛に至った背景について捜査終了まで現場勤務ははずされる。
青年の葬儀は26日に行われたが、10月24日にはリオ市のクラック常用者が、クラック使用後に、自分を助けようとしてくれていた友人女性を絞殺する事件も発生。
リオの事件では、息子から連絡を受けた父親が警察を呼び、中毒患者用の施設に入院させたが、麻薬常用者を巡る、家庭崩壊や窃盗、殺人などの事件は後を絶たない。
麻薬に手を染め抜け出せなくなる前に手は打てなかったか、常用化後の治療方法や施設は知られているか、家族への対策はなど、多くの問題を抱える麻薬問題。密売者摘発なども必要だが、悲劇が起きる前に常用者らを救う方法はないものか。