ニッケイ新聞 2009年11月28日付け
検察庁サンパウロ市支局は26日、ロメウ・トゥーマ上議(PTB=ブラジル労働党)とパウロ・マルフ下議(PP=大衆党)が軍政時代に死体を遺棄したことで民事訴訟を提起と27日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。
同時に当時の関係者であるミゲル・コラスオノ元サンパウロ市長と法医学院のハリー・シバタ解剖医、サンパウロ市葬儀課のファービオ・ブエノ課長も同訴訟に連座。同2人の議席剥奪と3人の解雇、年金の取り消し、被害者の名誉毀損補償を要求した。
検察庁によれば、同議員2人は軍政時代、拷問致死の政治犯複数を正規の手続きを経ずにペルースとヴィラ・フォルモーザ墓地へ無縁仏として葬ったといい、人骨の識別が困難となっている。
当時サンパウロ市長であったマルフ下議は、ペルースに政治犯専用の墓穴を掘らせ、廃棄物のように葬ったという。葬儀下請け企業は、通夜も告別もない異常な埋葬に犯罪関与の後難を恐れたと証言。
トゥーマ上議は当時、サンパウロ州政治警察(Deops)の責任者として、これら政治犯の遺体処理を指揮した。検察庁サンパウロ州支局の保管書類によれば、同上議は政治犯拷問による尋問の責任者であり、遺族へは一切秘密としていたことが判明。
遺体は全て、首吊り自殺や絞殺、膝関節離脱、海老状に湾曲されたものなど、拷問の過酷さを見せつける状態であったと葬儀企業がいう。それで市は埋葬条例を改定。遺族への引渡しや遺体確認を省略し無縁仏で処理した他、焼却による証拠隠滅を合法化したようだ。