ニッケイ新聞 2009年12月1日付け
11月29日付エスタード紙が、電気代は上がっても電力供給の質は低下し、3日に1度各地で停電発生と報じた。
11月10日に18州を襲った広域停電の記憶はまだ新しいが、同日~23日の間に、12日のアクレとロンドニア州での停電など、6回の停電が記録されたという。
停電時間などは数分~数時間と差があるが、08年の場合、電力供給が止まった時間は全国平均16・61時間。01年の16・57時間を上回ってもいる。
地域別平均では、南東部10時間、南部15時間、北東部19時間、中西部22時間、北部70時間となっているが、民営化以来改善していた電力供給の質低下の最悪例は、ロライマ州サンルイス・ド・アナウアーの1007時間の供給停止。火力発電に頼る同地域の電力料金は290レアル/MWhで全国一高い。
一方、11月15日付フォーリャ紙は、100MW以上の電力供給停止が起きた停電は、05年の74件以降、08年の48件まで4年連続で減少していたが、09年は既に62件起き、増加に転じたと報道。これらの停電は原因未解明のものも多いが、大半は、落雷などに伴う放電か過電流が原因と見られている。
その意味で、11月10日の広域大停電を見ると、停電発生直前のイタイプ発電所からの送電量は、通常の送電量を相当上回っていたといい、悪天候に伴うショートが原因との見方を否定する専門家もいるようだ。
また、23日以降続いているリオでの停電は、暑くてエアコン利用が増えたことなども原因というが、金融危機で落ち込んだ電力消費も回復。高温、多雨、落雷などの天候不順が懸念される中で繰り返される停電に、部品交換などの保守作業不足や、広域停電を防ぐための保全システム見直しの必要の声も出ている。
人口増加や電化製品普及、地球温暖化など、今後の電力消費は増えたとしても減る事はない。政府や鉱動省は電力供給保証付きというが、14年のサッカーのワールド杯や16年五輪以前に、年末の旅行シーズンや日々の商売でも新たな停電発生を懸念する人が多い。
22日付エスタード紙には、保全システム見直しは大型投資が必要で、電気料金値上げが必要との話も出ているが、採算理由のシステム改善先延ばしや、夏の電力供給は十分との言葉は言い訳とも見られそうな実態だ。