ニッケイ新聞 2009年12月1日付け
【パラナ発】パラナ州アサイ市(ミシェル・アンジェロ・ボンテンポ市長)は10月28日、名誉市民章の授与式を上野米蔵会館で行い、嶋田巧さん(76、二世)、上野久良男さん(76、二世)、間島正典さん(77、新潟)が受章した。栄えある式典には招待客ら300人が駆けつけ、大変な賑わいをみせた。
これは日本移民100周年記念事業の一環として、アサイ文化連合管内より、同地域における文化と産業の発展に尽くした人々の栄誉を称えるために行われた。
シルビオ・グァダギニ郡会議長、ミシェル市長、アサイ文化連合会の小岸穎郎会長、西森ルイス州議の代理であけみ夫人らの挨拶が続き、アサイ文化連合会評議員の中川武宣会長は3氏の功績を紹介し、ミシェル市長やシルビオ議長などの関係者に謝意を表した。
授与式のあと、パラナ日伯文化連合会の上口誠一名誉会長の音頭で乾杯し、晩餐会が行われた。
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嶋田さんはカビウナ区日本人会、アサイ文化連合、パラナ日伯文化連合会などの要職を務め、パラナ州のブラジル日本移民90、100年祭では祭典委員長を務め、クリチーバ市における天皇皇后両陛下歓迎式典委員長も務めた。
さらに、嶋田グループの総帥としてセラード開発に尽力、ミナス・ジェライス州サンゴタルド、ウベラーバ地方のモデルケースになるなど農業発展に貢献した。2006年には旭日双光章を受章している。
上野さんは50年代、長兄アントニオ義雄(元連邦下議)らと共にアサイ綿花株式会社を設立。現地の人々と協力して発展、五つの製綿工場を有するまでになり、アサイ文化連合会、婦人会に対し惜しみない援助を与えた。
また、アサイ地域における文化スポーツ活動を支え続け、上野米蔵総合運動場を寄贈した。
間嶋さんは60年代後半、コチア産業組合理事会が奨励するイタリア種ブドウの栽培に指導技師として赴任。寝食を忘れ栽培技術の指導に励み、イタリアブドウを一大産業として発展させた。
さらに、北パラナのサンタマリアーナ市の奥山孝太郎さんによる新種ブドウ、ルビーオクヤマの発見に尽力し、日本の農林水産省に正式に登録された。95年に第27回山本喜誉司賞を受賞、03年に旭日単光賞を受章している。また、04年の皇居宮殿で行われた「歌会始の儀」に入選している。(中川芳則通信員)