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エイズの悩みは体より心=差別され傷つく感染者ら=採用試験合格取消の例も

ニッケイ新聞 2009年12月2日付け

 「世界エイズデー」の12月1日前後は、サンパウロ市イビラプエラ公園の記念碑に赤いリボンをつけるなど、様々な催しや報道が繰り返されるが、患者には肉体的問題より精神的問題が重いという。
 1日付フォーリャ紙やサイトによると、エイズ患者で悲壮感やうつ病で苦しむ人は33%、不安感にさいなまされている人は47%で、一般人の15%、23%と比べ、精神的な問題の比重が大きい事が良く判る。
 また、採用試験合格後の検査で、エイズ感染が判明し、採用取消となるなど、一般社会での差別に苦しむ人も多い。
 エイズ患者の問題は病状とも関係するが、肉体的には、患者の55%が体調は良好または好調といい、一般的な慢性病患者の27%と比べ、より良い状態で日常生活を送っているといえる。
 この事は、新薬開発などによる支援体制改善とエイズ致死率低下などの反映でもあるが、サンパウロ州では2008年の人口10万人当たりの同病死者が8・2人となり、1995年から減り続けた致死率がやや上昇。08年の場合、サンパウロ州では3300人、国内では1万1千人の患者が死亡した。
 08年6月時点の患者数は3万4480人で、2007年の3万3909人から1・7%増加。人口10万人当たりの罹患率も、17・9人から18・2人と、拡大傾向は続いている。
 感染拡大については11月27日付伯字紙が、1997年~07年のエイズ感染は内陸部に広がり、人口5万人以下の市の罹患率は4・4人から8・2人に84・4%増加したが、50万人以上の市での罹患率は32・3人から27・4人に15・5%低下と報道。
 パラー州アナニンデウアの380%増始め、北部、北東部は感染拡大、サンパウロ州リベイロン・プレットの72・5%減始め、南東部は感染縮小の傾向があるが、受身になり易い女性と、同性愛青年の感染増は全国的傾向だ。
 29日付エスタード紙は、感染が内陸部に拡大している事で、大都市での予防対策をおろそかにしないよう警告。血液製剤による感染も含む患者への差別排斥やエイズ撲滅には、エイズデーだけではない、継続した啓蒙活動も必要だ。

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