ニッケイ新聞 2009年12月2日付け
農業の山本賞の授賞式。受賞各氏は、分野は違っても長年農業一筋に歩んできた安定感を感じさせる人ばかりだった。
中でも印象深かったのは、台湾梅の栽培でコロニアに梅干をもたらした孫河福さんへの感謝状。歴代受賞者を見る限り、台湾出身者としては初。以前から賞を贈るべきとの声もあったそうだ。
日本の植民地だった戦前の台湾で生まれた孫さん。「長い間使っていないと忘れてしまって」と言いつつも、流暢な日本語で質問に答える。
「学校で台湾語を使ったら先生に鞭で叩かれて」という思い出話も。決して良い記憶ばかりではないだろうが、日系団体からの申し出を受け、「嬉しい」と話す。
腰を痛めて杖を手にしているが、81歳の今もトラクターで畑へ出る。現在でも年間約3トンの梅干を漬けるという。
次回、40回目の授賞式でも様々な人達に光が当たってほしい。(ま)