ニッケイ新聞 2009年12月4日付け
PT(労働者党)首都支部は12月2日、連邦直轄都のジョゼ・R・アルーダ知事が違法資金を享受したとして6弾劾案の一つを都議会へ上程と3日付けフォーリャ紙が報じた。ウクラニアのキエフ滞在中のルーラ大統領は、同知事が看過した違法システムについて、映像だけでは事実確認をできないが、恥ずべきことだと述べた。最高裁で審理中の裏金疑惑(メンサロン)では与党幹部が被告席にいたが、今度はライバルDEM(民主党)の裏金疑惑として与党が原告の側に回った。
DEMに対するPT告発は、ルーラ大統領の「恥ずべき行為」発言をサインに攻勢へ転じた。告発には、PT首都支部長のシッコ・ビジランテ氏が署名。同支部長は、ジルセウ前官房長官を含む裏金疑惑の面々が構成するCNB(新ブラジルを築く会)の1人だ。
「毒は毒を以って制する」。同支部長は上程に際し、ベルゾイニ党首に打診。PTも脛に傷があり、向うの傷を抉れば、こっちの傷も抉られるという返事。だがルーラ再選でPTの疑惑は、国民によって許されたという同支部長の見方だ。
都議会の都議は24人、弾劾が可決されるためには16票が必要。都議会の反アルーダ派は、5人しかいない。PT上程案は、連邦警察の「パンドラの箱」作戦をベースにしたもので、弾劾に至るかは疑問だ。
DEMのジョゼ・T・ノノー前下議は、アルーダ事件をクリスマスの贈り物となったパイナップル(皮が厚くて食べる所が少ない)だという。カリェイロやコーロルなどの怪物が棲息するブラジルで、アルーダのように振舞えなければ生きて行けないと弁護した。
1日のルーラ大統領は、ウクライナのユスチェンコ大統領の質問に対し「取るに足らぬこと。しかし、事実解明が行われないと何も分らない」と答えていた。しかし、一夜明けると糾弾に豹変した。
パンツや靴下の中に賄賂を隠す映像を外遊の旅先で見せられ、大統領はコメントに窮した。大統領は同件を政治不信の1面とし、解決策は政治改革にあるという。
「恥ずべきことは、議会へ政治改革案を上程したのに議員が改革に無関心であること。ジャニオ元大統領の言葉を借りるなら、ブラジルに見えない敵がいて改革の邪魔をしているのだ」と大統領が揶揄し、語った。
ブラジルから恥ずべきことを一掃するため大統領選後、政治改革の特別議会を召集するよう大統領が提案した。未だこのようなスキャンダルが罷り通ることは、許されないというのだ。