ニッケイ新聞 2009年12月5日付け
最高裁は3日、ミナス州選出のエドアルド・アゼレード上議(PSDB=民主社会党)を裏金疑惑への関与で起訴と発表したことを4日付けエスタード紙が報じた。同上議は1998年、州知事再選を狙った資金捻出のための裏帳簿設置と公金横領関与で告発された。最高裁のジョアキン・バルボーザ判事は、同上議が公社の資金を流用し洗浄を行っていたことは疑いの余地がないという。またジョゼ・D・トフォリ判事は、同上議告訴を証拠不十分として起訴に反対した。
選挙を来年に控え、裏金の告発攻勢が始まった。俎上に上がったのは、PSDBのアゼレード上議。最高裁は賛成5票、反対3票で同上議の起訴を決めた。告発をしたのは検察庁。
同上議は1998年、ミナス州知事選でイタマール・フランコ氏と競い敗れた。同州のCOPASAやBEMGE、CEMIG、DUPRAT財団などから関係企業へ資金移動を行い、合法資金のように資金洗浄をしていたというのだ。
マルコ・A・メーロ判事は「最高裁は裁判の終着駅ではないし、人の顔を見て裁いているのではない」と述べた。「裁かれる者は、裁かれるようなことをしている」と同上議の起訴に同意した。
公金横領の流れと合法化のシステムを考案したのは、同上議だと検察庁は見ている。この作業には、PT(労働者党)裏金疑惑の主犯マルコス・ヴァレリオ氏も、関与した疑いがある。
PT裏金疑惑もPSDB裏金疑惑も、手口は全く同じ。1は同上議との顧問料契約書を政府と公団の間で交わす。2は、ヴァレリオの仲介で架空融資を行う。3は、選挙裁判所へ申告した以外の献金を借入金とする。4は、同上議配下の議員名義でヴァレリオが架空融資を斡旋。5は、関係者の政治献金隠蔽。
ところがトフォリ新判事は、同上議の弁護に回り、バルボーザ判事と反対の見解を採った。最高裁判事以前は、PT党員としてPT裏金疑惑の被告人弁護に奔走した。告発を全面否定した。
同判事はかつて、ジルセウ前官房長官の右腕として辣腕を奮った。総弁護庁長官として、PTの汚物掃除もした。検察庁の告訴状に、同上議の犯行記述が何もないという。告発は同上議を陥れるえん罪だと糾弾。
同上議告発の訴状に添付した証拠書類はニセものと告発したことで、トフォリ判事とバルボーザ判事が証拠物件の真偽を巡って論争へ発展した。先のアルーダ知事告発も含めて、選挙戦の前哨戦といえそうだ。