ニッケイ新聞 2009年12月5日付け
伯独両国首脳は3日、イランの核計画を巡って見解が背反することを記者会見の席で暴露したと4日付けエスタード紙が報じた。
ドイツのメルケル首相は、6カ国体制を採り、イランに対する経済制裁示唆と核開発の抑制を図ることを表明したのに対し、ルーラ大統領は、イランを信じて対話による柔軟路線を求めた。
メルケル独首相は、ルーラ大統領とイランのアハマディネジャド大統領のブラジリア会談を誤解しているようだ。
独首相は、伯独関係はガラス張りの協調体制を採ると宣言。その直後にガラスが不透明になるなら、協調はない話とアメとムチを使い分ける恫喝宣言に豹変。その時はイランに対する制裁が、実施されるという。
ブラジルはイラン大統領を迎えたのと同じ月に、イスラエル大統領やパレスチナのアッバス議長も迎えたことを説明。「イランは高度の文明を有した国で、非常に強い誇りを持つ。だが欧米はイランを無名国扱いする」とルーラ大統領が苦言を呈した。
国際社会は自分が持っているものを、イランが持つことを禁じる。イランに禁じるものは、国際社会にも禁じるべきだと6カ国体制の考え方を大統領は批判した。
ルーラ大統領は「米露両国は、イランに対して核開発を禁じる権限はない」と声明を発表した。いっぽう、アモリン外相はアハマディネジャド大統領とイランのイシャハン核施設で会合、IAIE(国際原子力委員会)がブラジルへ圧力を掛けていることを伝えた。
伯イラン関係を保つため、ブラジルはジュネーブ条約の範囲で核開発を考えている。イランから低濃度の核燃料を受け取り、ブラジルがEUから購入した核燃料をイランと交換する相談だ。
イランは20%濃度の核燃料を求め、それ以下なら不要であると通告。イランは現在、1200キロのイラン製核燃料の在庫を持っている。それをブラジルとEU製核燃料との交換で、もらい損ねるのを心配している。
イラン議会は3日、世界各国の外交関係見直しを発表した。IAIEがイラン制裁の表決をしたところ、賛成25票、反対3票。ブラジルは棄権6票の組に入った。