ニッケイ新聞 2009年12月9日付け
予算総額340億レアルの大型プロジェクトである高速鉄道(TAV)の入札規定などが、来週にも提示される可能性が出てきた。
8日付伯字紙や7日付サイトなどによると、経済活性化計画(PAC)の目玉でもあるTAV建設については、7日の関係閣僚会議で新たな日程案が組まれ、政府系資金拠出額は、社会経済開発銀行(BNDES)融資208億レアルを含む、240億レアル相当との案がまとまった。
リオ~サンパウロ市~カンピーナスを結ぶTAV建設・運営には、7日のサンパウロ州グアルーリョスでの「ブラジル鉄道セミナー」で、マンテガ財務相が「TAVの入札には、5~6のコンソーシアムが参加する事になるだろう」と述べた様に、日本や韓国、ドイツなど、国内外の企業が関心を示している。
その一方、各企業が二の足を踏む原因が、この事業に伴うリスクの大きさだ。
ブラジル政府は、この事業遂行のために官民参加の公団を設立し、16年のリオ五輪前の開業を願っているが、建設とその後40年間の運営責任を負うコンソーシアムには、公団資金としての104億レアル中、70億レアルの供出が求められる。
その一方、国内初のTAVには、採算が取れるか否かという不安なども残っている。
TAVに関心のある企業からは、開業初年に1700万人との利用見込みへの疑問と、採算が取れなかった時の赤字を背負いきれないとの不安の声が出ている事は、8日付フォーリャ紙が報道。
また、6日付同紙は、環境許可取得手続きと費用は政府の責任、予定以上の黒字が出た場合は政府が一定額まで取得する権利を有する一方、一定額までの赤字は政府負担とする、などの点で、政府側の譲歩が必要との見解も示している。
6日付同紙によると、入札公示後、6カ月間の応札期間が欲しいとの声も出ているが、8日付伯字紙によれば、政府は、今週中に予算審議用資料の会計検査院提出、来週にも入札規定を提示し、1月に公聴会、2月に入札、5月には、開業後の乗車賃や技術移転などの条件で担当のコンソーシアム決定との筋書きを打ち出している。