ニッケイ新聞 2009年12月9日付け
ジョゼ・セーラサンパウロ州知事は7日、少年刑務所で補導を受けた少年と元服役者の社会復帰に関する二つの州条例に署名と8日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。これによって、2010年までに5千の雇用創出を行う予定だ。
サンパウロ州では毎年、1万7千人の男女出所者と6千人の補導少年が職を求める。サンパウロ州の公共事業などを行う企業では、従業員の5%は元服役者の採用を義務づける。6人から20人規模の企業の場合は、1人は元服役者。5人以下は、任意とする。
同条例には、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)も全面協力の意向を表明。サンパウロ州職業斡旋所(Sert)は、元服役者の職業斡旋を優先する。サンパウロ州刑務所管理局も、出所者の職業斡旋に精進する。
サンパウロ州刑務所は2007年1月、14万4542人の受刑者を収容。2009年11月には16万3356人を収容し、年々増えている。サンパウロ州で35万人が就労する清掃保全会社2千社は、1千人の元服役者を即時採用の用意があると同労組が発表。
CUT(統一労組)も、工場労働者の新規採用に元服役者を優先する考えであることを表明した。まだ世間の目は冷たいが、これまで元服役者の80%は、完全復帰を果たしているというのがCUTの見方だ。
労組は、偏見の目を正す必要があるという。上流社会では服役が貫禄になるが、下流社会では負担になる。経験を前向きに捉えて生産につなげれば、舞台数が有為な人材を生む可能性もある。
Sertのアフィフ局長は、社会が再出発のチャンスを与えることが、習慣として定着すると見ている。有為な人材発掘には、それなりの投資が必要という。
最高裁のメンデス長官は「非行少年の指導が、社会の発展か退廃を決める。少年の非凡性を生かした国が、有為な人材を発掘する」と述べた。社会の歯車とかみ合わない人間にも、活躍の場を探そうと同長官はいう。