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水の国家管理検討へ=将来の水不足に備え=水資源大国ブラジルの使命=4億人分の飲料水保有

ニッケイ新聞 2009年12月15日付け

 政府は13日、州政府の管理下にある地下水の利用を連邦政府が国家管理のもとに移し、使用料を州政府と配分することを検討中と14日付けフォーリャ紙が報じた。世界的な水不足の到来が危惧されることで、国家水源庁(ANA)は世界最大級の水源の一つとされるグアラニー地下水源を、国家管理とするよう連邦令の改正を提言した。連邦令では河川と湖水は連邦政府に属し、地下水は州政府となっている。地下水の水量は、河川や湖水の水量の10倍あると推定されている。

 グアラニー地下水源は南マット・グロッソとゴイアス、ミナス、サンパウロ州、パラナ、サンタカタリナ、南リオ・グランデ各州の一部とパラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン各国の一部にまたがる120万平方キロの大水源で4億人が2500年間、飲用できる水量を包含するとされる。
 世界の水資源は、6カ国に60%が存在するという。将来は飲料水の輸出も、視野に入ることになりそうだ。
 従前の連邦令では、地下水の使用料は1銭たりとも連邦政府に払われなかった。それが2000年、PEC(補足法案)43号で管理権の移譲は可と議会で承認した。
 現在の水道料金は、飲料水の加工費のみを徴収し、原料水は無料となっていた。PECを承認した2000年から2009年6月までの9年間、法制委員会も上院もこの事実を見落とした。
 水使用料に関する改定案は2010年、レナト・カーザグランデ上議(PSB=社会党)が上程する。ANAは連邦政府の指揮のもとに、各州が大水源の本格活用と共同管理を行うことを推奨した。これは理想だが、実際には州と連邦の利害が絡み、国家管理は一朝一夕にまとまらない。
 河川の水使用料についても、川を流れているときは流水であるが、地面以下を掘削した運河へ水を引いたら地下水とみなす。まだ疏水工事は完了してないが、州政府は収入予算に組んでいる。
 サンパウロ州やパラナ、ミナス、リオ各州で多くの河川から疏水が行われているが、使用料を徴収しているのは2カ所だけ。2010年下半期から、本格的に徴収が始まる。州政府は、河川の流水プラス15%の地下水使用料を徴収している。
 リベイロン・プレットなど500の地方都市は、非汚染の純粋地下水を家庭用水に配水している。現在7000の掘抜き井戸が、同水源地域で登録された。グアラニー地下水源の71%は、ブラジル領にある。