ニッケイ新聞 2009年12月15日付け
空の旅を終えて家路に着いた旅行者を狙う強盗がサンパウロ市で多発しており、年末年始の旅行シーズン本格化を前に、警察が注意を呼びかけている。
14日付フォーリャ紙によると、10月18日に防犯カメラに録画されたヴィラ・クレメンチーノでの事件では、一週間のチリ訪問を終え、クンビッカ空港からタクシーで帰宅した夫婦が襲われ、トランクや腕時計、首に下げていたデジタルカメラなど、一切合財の荷物を持っていかれた。
被害者のアパートの前に停止したタクシーから降りた運転手が、トランクを開けるため車の後部に回る間に、降車しようとした夫婦が銃器を持った賊に制圧されたというもの。所持品を奪った犯人は、約50メートル離れた所に止まっていたバイクに2人乗りとなって逃走したという。
ところが、この映像を分析するにあたり、被害者夫婦が、タクシーの運転手が不審な行動をとったと言い始めた事で、警察が、犯罪組織にはタクシー運転手も加担しているかも知れないとの嫌疑を深めた。
実は、地下鉄サンタクルース駅付近を担当する16分署では、7~10月だけで、4件のよく似た手口の強盗事件が届けられている。
警察の捜査によれば、クンビッカ空港からのタクシーが、チラデンテス、23・デ・マイオ、9・デ・ジューリョを通過する際、タクシーに目をつけた強盗の一味がバイクで追跡。自宅やアパート前で止まったところで、銃を持った賊が近づくという手口だ。しかも、金品を奪った賊は、バイクで途中まで逃げた後は、車に荷物を移し変えて逃走するという。
クンビッカ空港のタクシー業務を行っているGuarucoopによると、同種の事件は減ってきているものの、一晩に3、4件の強盗事件が起きる事もあるという。
警察では、空港ターミナル内で後をついてくる人物の有無に注意する、カメラやコンピューターなどの金目の品物は人目に触れない様にして持ち運ぶ、前記の道路を通る場合は特に、追いかけてくるバイクの有無に注意する、タクシーには出来るだけ駐車場の中まで入ってもらう、などの留意点を挙げている。