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メルコスル協定=上院がベネズエラ加盟承認=GDPが1兆ドルへ=域内貿易は3000億ドル=パラグアイの承認待ち

ニッケイ新聞 2009年12月17日付け

 上院は15日、ベネズエラのメルコスル加盟を賛成35票、反対27票で可決したことを16日付けフォーリャ紙が報じた。4カ国で1991年、設立したメルコスル協定に、チャベス大統領のベネズエラが追加盟する最初の国となった。ブラジルは2007年、下院に同案の審議を図ってから、承認までに3年かかった。同国加盟にはパラグアイの承認も必要だが、正式加盟が早期に実現すれば、ベネズエラ製品は2010年から、伯亜両国へ無関税で入る。伯亜製品は一部を除き、2012年1月からゼロ関税でベネズエラへ輸出される。

 ベネズエラのメルコスル加盟には、野党ばかりでなく与党の中にも反対意見があった。チャベス大統領の政治手法に、批判的な意見が多かった。しかし、数の力で同国加盟とルーラ大統領の目論見は承認に至った。
 審議延期を繰り返すこと6週間、難産の同国加盟は国会終盤で強行突破を完遂した。次は官報の公布。それからパラグアイ議会の承認だ。
 野党の反対理由は、チャベス大統領が20年間口癖のように訴えたボリヴァリアニズムは時代錯誤だというのだ。与党内の反対派は、同大統領の高圧的な態度が気にくわないと批判。
 同案は2007年、上程された。下院は2008年、難なく可決。上院で遅れたのは、上院外交委員会委員長をエドアルド・アゼレード上議(PSDB=民主社会党)が務め、上程者にジェレサッチ上議(PSDB)を指名したからだ。
 さらにチャベス大統領が、次期大統領としてロウセフ官房長官の就任を支援する声明を発表したのが野党を刺激した。因幡の白兎のように、声明発表が早すぎたのだ。
 ベネズエラ加盟へのロビー役を果たした外務省によれば、同国の加盟でメルコスルのGDP(国内総生産)は1兆ドルに達し、域内貿易額も3千億ドルに達するという。
 同国の加盟によるブラジルの利点は、ベネズエラが食糧の75%を輸入に頼っていること。同時にブラジル製資本財が流入すること。ブラジルの北部経済が、活性化することなどがある。
 一方、ベネズエラの利点は、来年から同国製品がゼロ関税で、ブラジル市場へ入れること。ベネズエラがメルコスルの議長を采配するチャンスがあること。メルコスル既加盟国と同等に、拒否権も与えられることなどがある。
 無関税のベネズエラ製品は来年から国内に出回り得るが、ブラジル製品の無関税輸出は2012年以後になる。一部の分野でブラジル企業が圧倒的に強く、ベネズエラの産業体制を立て直す必要があるからだ。