ニッケイ新聞 2009年12月18日付け
サンパウロ州政府は16日、郊外のマンチケイラ山脈水源地帯を貫通する形でロドアネル(大サンパウロ市圏環状道路)北部区域50キロメートルを通す計画だったが、環境許諾の困難さから諦め、サンパウロ市内を通過するように計画を変更したと17日付けフォーリャ紙が報じた。混雑した市内を通過しない基幹道路として計画されたが、今回の変更でサンパウロ市北部の急勾配がある人口密集区域を通ることになった。変更区域は、国道ヅットラ街道と北西部を連結する重要な部分となっている。
ロドアネルの北部区域は完成に向けた最終部分となっていたが、原案のままでは水源地帯を貫通するためサンパウロ州水道局(Sabesp)が懸念し、環境局も道路の建設許可に難色を示していた。
変更によりヅットラ街道の国際空港付近から分岐し、北西部のライムンド・P・マガリャンエス大通りに連結する予定。市内変更区域の道路設計で、道路開発公団(Dersa)は入札準備に入った。
この北部区域の工事予算は50億レアル。工事開始には、15万5千平方メートルの用地接収もある。
入札で落札した企業は、先ず7万平方メートルのスラム街の整理から始める。バラックを何軒潰すか、住民家族の移転先と引越しの心配も必要だ。そのための一部変更は、必ずあること。
通過区域の変更で環状道路がサンパウロ市内を通るなら、いいことも悪いこともある。利用者には万一の場合、市内なら助けを求められる。容易に市内の主要道路へ入れる。
悪いことでは、ロドアネル近くの市街地は道路網が渋滞、商店や住宅は過疎化する。市街地近くの工事は、危険で複雑なため余計な手間がかかる。用地接収が割高。
第2案でグアルーリョスとオザスコをつなぎ、マルジナル・チエテの交通量を減らし、ロドアネル北部区域を代替する案もあった。しかし、サンパウロ市から離れるほど利用度が減る。ドン・ペードロ国道が、その前例だ。
ロドアネルはサンパウロ市から遠くなく近くなく、利用し易く市内への混乱を引き起こさない。地形は悪くても地価の安いところがよい。ロドアネルを考案した時代と現在は、情勢が変化した。
万年渋滞のヅットラ街道における失敗を繰り返さないことが肝要。幹線道路と普通の大通りは、区別する必要がある。