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トメアスー組合=念願のカカオを初出荷!=武藤、福原の思い果たす

ニッケイ新聞 2009年12月18日付け

 アマゾン入植80周年を迎えたトメアスー移住地から、入植当時栽培に失敗したカカオが、奇しくも80年を経た今年、日本向けに初輸出されることになり、関係者を感激させている。
 鐘淵紡績株式会社の武藤山治社長が中心となり創立した南米拓植株式会社(福原八郎社長)が1929年に開拓を開始したトメアスー移住地。
 当初の永年作物はカカオに選定されたが、営農を支えるものではなかった。以来約20年―。戦後のピメンタの成功をみるまで、移民らは苦闘の歴史を重ねてきた。
 トメアスー総合農業協同組合(坂口渡フランシスコ)は、このたび株式会社フルッタフルッタ(代表取締役長澤誠)を通じて、同社のアグロフォレストリーカカオを採用した明治製菓株式会社と110トンのカカオの契約を結んだ。
 今月12日、湿度0度、気温20度に保たれるコンテナ(25トン車4台、10トン車1台)に、1袋50キロ入りのカカオ2200袋が積み込まれた。
 トメアスーから4時間の距離にあるバルカレーナ港に運ばれ、船積みされ日本に運ばれる。約40日間の船旅の後、横浜港に着き、明治製菓に渡されることになる。
 坂口組合長は、「入植当時、カカオ栽培には苦労した。アグロフォレストリーを取り入れ、初出荷までこぎつけることができた。組合員に感謝すると共に、80年の長い歴史を振り返ると、感慨深いものがあります」と積み込みに立ち会いながら、喜びを噛み締めた。
 フルッタフルッタ社のベレン代理人である北島義弘氏は、「故人となった武藤山治、福原八郎さんらがここにおられたら、どんなに喜んだだろうか」とトメアスー開拓に力を注いだ先駆者らに思いを馳せていた。
(下小薗昭仁パラー通信員)