ニッケイ新聞 2009年12月22日付け
鳩山政権の斬れ味は真に鈍い。発足から日が浅いの言いわけもあろうが、普天間飛行場の移転は混迷し、あの選挙で約束した「公約」も危なっかしい。民主党は、ガソリン税などの暫定税率を廃止するとし、「子ども手当」も家族の所得には関係なくすべての人々に支給すると華々しく喧伝し国民からの喝采を受け政権を獲得したの記憶は新しい▼なのにーである。去る16日には、小沢幹事長が官邸に首相を訪ね10年度予算に対し党からの要望を伝えた。このなかに、暫定税率の廃止ではなく、現状維持を要求し、子ども手当も所得制限をすると政府に迫った。これは明らかに「公約違反」なのだが、小沢氏の政治力は途方もなく強く大きい。これに対する総理大臣・鳩山首相の答えも例によって「玉虫発言」ばかりに徹しさっぱり要領をえない▼普天間にしても、自民党政権はアメリカと名護市辺野古に移転すると合意している。ところが、政権が交代するやいなや県外だとか国外がいいの意見が力を持ってしまい、問題を複雑怪奇にした。勿論、米は国防長官を始め軍首脳も、民主党の方針に反対であり、「自民政府との合意を大切にしたい」と語っている。これについても、首相は「八方美人」的な発言であり、外相や防衛相の考え方とは天と地の隔たりがあり閣内不一致を曝け出している▼ちょっと横道に入るけれども、「政高官低」は結構ながら小沢幹事長の宮内庁長官への辞任要求は、いくら何でも行き過ぎではないか。そうでなくとも、党内や政界では「小沢総理」の声が高まり、2頭政治と呼ぶ向きもある。ご用心、ご用心である。 (遯)