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国税庁発表=11月税収が過去最高=産業の回復を裏付け=本格的な上昇気流へ=取り残された輸出部門

ニッケイ新聞 2009年12月24日付け

 国税庁は22日、11月の税収が予測を上回る前年同月比26・39%増の720億9千万レアルに達し、11月としては過去最高となったことを発表と23日付けエスタード紙が報じた。税収増は、訴訟供託金や滞納税の分割払いなども増えていることを反映している。金融危機によって落ち込んだ税収も、12月は挽回できるものと国税庁は見ている。輸出業者から自動車や家電のように減税による業界支援の陳情があったが、ルーラ大統領は、税収あっての国家であると拒絶した。

 経済の回復は税収増で裏付けられ、今後の経済発展で保障金のようなものと国税庁は見ている。税収は定期税収と非定期税収とがある。訴訟供託金や対納税分割払いなどを除く、定期税収も前年同月比で9%も増えた。
 1月から11月までの税収では、2008年が6601億レアルで2009年は6338億レアルだから、前年同期比では、まだ3・99%足りない。国税庁は経済の流れが11月に変わり、本格的な上昇気流に入ると見ている。
 財界の注目は、金融危機で落ち込んだ工業の回復だ。非定期税収でも、力強い動きが見えたことは悦ばしい。税収720億レアルは、関係者を安堵させた。
 前年同月は国際金融危機の影響で既に税収が減少しており、比較対照の水準が低かったことも、前年同月比で税収が拡大した一因だが、インフレ調整後の前月比で4・41%増は、回復の証といえる。年間徴収額で2009年が2008年と同額になれば御の字と、国税庁はいう。
 税収と工業生産は順調に回復したが、野党から指摘される輸出の深刻な落ち込みがある。ルーラ大統領は輸出業者の会合に出席し、変動制為替相場を導入したので高低は当然のことだと説得を試みた。しかし、ルーラ大統領は輸出業者から猛反発を受けた。
 大統領はBNDES(社会開発銀行)のコウチニョ総裁に、為替異変の説明を命じた。「ブラジルはあらゆる手を打っているのに、なぜ中国製品はブラジルの半額で輸出できるのか」と。
 答えは「ヴァーレが、ブラジルで船を発注すべきだ。それにはブラジルの造船所は、今の半額で船をつくること。それが中国船の倍額もするから、ブラジル製品は倍額になる」というのだ。