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ワシントン・ポスト=為替放置は死活問題=レアル高の原因、米国と中国

ニッケイ新聞 2009年12月24日付け

 ワシントン・ポストは22日、ブラジルは2億の国民がひしめく坩堝だとする論評を掲載と23日付けエスタード紙が報じた。ブラジルは活気溢れる民主国家であり、大統領は短期間に数多の極貧階級を救ったという。
 不思議な国ブラジルという靴の中に、中国という石が入った。レアルの暴騰には、中国の人民元が影響している。レアルの高騰が続くなら、ブラジルの輸出産業は壊滅の危険があると警告。
 ブラジルの為替問題は、米経済の弱体化が原因だ。FRB(連邦準備制度理事会)は低利政策を保持。そのため資金が、ブラジルへ流れる。ブラジルの高金利政策は、おあつらえ向きだ。
 レアル高騰の原因には、人民元もある。中国は経常収支で莫大な黒字を計上し、ブラジルは赤字だ。それなので中国は、徐々に下がるドルに人民元が連動している。この流れにブラジルが対抗するには、生産で競うしかない。
 人民元は為替半変動制で安めに設定し、政策金利も低利だ。ここでも資金がブラジルへ流れる仕組みができている。それならブラジルは、どうするべきか。徹底的な低金利にして、資金流入の流れを止めること。しかし、それができない。
 ブラジルに、悪夢のハイパー・インフレがやってくるからだ。IOF(金融税)を設けたが、破れた傘のようで機能しない。レアル通貨を売って、ドルを買うこともできない。残るは補助金制度を設けて輸出産業を、保護することだ。
 しかし、ドーハ・ラウンドで補助金制度廃止を旗印としたブラジルが、輸出産業に補助金を出したら、先進国から徹底的に報復される。ブラジル経済は為替対策を講じるほど経済内容が確立されていないようだ。
 米国に政策金利引上げを要請しても、失業者が溢れる米政府は耳を貸さない。最後に残るのは中国が金利を引上げ、ドルと連動した動きとならないよう、話してみることだ。しかし、中国は欧米の要請など相手にせず、Bricsとの協調で独自の為替政策を打ち出す計画のようだ。

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