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スリナムでイヴの惨劇=ブラジル人金鉱夫ら襲われ死傷=暴行、強奪、放火に強姦

ニッケイ新聞 2009年12月29日付け

 仏領ギアナと国境を接するスリナムの金鉱の町、アウビーナで24日夜、200~300人のスリナム人が、同市在住のブラジル人金鉱夫らを襲うという事件が起き、14人が負傷、7人が死亡した可能性ありと27日、28日付伯字紙が報じた。
 事件の発端は24日にもたれたパーティーでの借金を巡る諍いで、ブラジル人金鉱夫がスリナム人1人を刺殺した事。復讐を誓うスリナム人が、武器を手に金鉱夫向けホテルなどを襲い、老若男女に手当たり次第に暴行。強奪、放火に強姦といった暴挙も報告されている。
 被害者にはブラジル人他、中国人やコロンビア人、ペルー人もいたといい、26日に現地入りしたカトリック教会のブラジル人宣教師によると、少なくとも7人の死者が出た模様。全員がブラジル籍か否かは報道内容が分かれている。
 負傷者は、スリナム軍や仏領ギアナの消防、警察が救出し施療。26日に現地のブラジル大使が少なくとも25人と報告した負傷者は、28日現在は14人と報告され、10人は退院許可を得たが、4人が続けて入院中で、内2人は重体だという。
 襲われた金鉱夫向けホテルが、仏領ギアナとの国境でもあるマロニ川に接していたため、川に飛び込んで難を逃れた人々によると、襲撃はあっという間の出来事で、山刀や斧、木片などを持ったスリナム人は「ブラジル人を皆殺しにせよ」と叫びながら乱入。扉をぶち壊して襲い掛かる様はまるで野獣そのもので、顔中血だらけになったケガ人や、ホテルや車にガソリンをまいて放火する様子なども見たという。
 ブラジル人生存者81人は、150キロ離れたスリナムの首都パラマリボに移されたが、27日現地入りのブラジル外務省職員は、死者は確認されていないと報告。現地警察は、スリナム人22人を逮捕して取調べ中だという。
 スリナムはオランダ語を公用語とする人口48万余の小国で、同国在住のブラジル人は1万5千~1万8千人。大半は一攫千金を夢見た不法入国者で、オランダ語も現地部族語も話せないと不評。今回のブラジル人被害者中、5人はブラジル空軍機で27日夜帰国したが、スリナム人殺害容疑者は仏領ギアナに逃亡中と見られている。