ニッケイ新聞 2009年12月29日付け
今年もあと少し。この1年―365日をお世話になった暦もすぐに幕を引き2009年も歴史の1ページを歩み始める。それにしても長くもあり、あっというまの短さである。それでもーいろんなことがあり、それなりに賑やかだったし、騒々しい年でもあった。アメリカでは、オバマ旋風が吹き、黒人大統領の誕生に拍手の嵐を送りさながらお祭りのように沸いた▼ここブラジルでは、リオ五輪の決定が大きい。ルーラ大統領やペレーも応援に駆けつけての「勝利」だが、リオの市民らの喜悦と騒ぎはカルナバルを超えた。これは、ブラジル国民の「夢」であったし、「南米初のオリンピック」と語ったルーラ演説には、いろんな国の人々が感動し、世界の3大美港での五輪成功をと激励した▼石原都知事からは、相当に辛口の批判があったけれども、こんな国際的なイベントにはあれもこれもの手管を用いるのが「常識」だし、石部金吉だけでは通らない。尤も、リオにも厄介な問題がある。フアベーラに巣食う麻薬集団による暴力事件の多発は、最大の敵と言っていい▼またー「汚職」が目立ち政治家らは左団扇でのうのうと暮らしている。サルネイ議長はあれほど非難されても、結局は罪に問われることもなく、かなりの非道も闇に消えてしまった。首都のアルータ知事の賄賂受け取りは映像の証拠もあるが、ご本人に辞職の意向はないようだし、真っ黒け知事の為政は続く。英国のサンドラ教授は「汚職はブラジル人の先天性病根」と厳しいが、新しい年もーこの腐敗の悪臭のままでは、真に困ったものである。 (遯)