ニッケイ新聞 2010年1月5日付け
サンパウロ市の証券取引所(ボベスパ)は12月30日、ブラジルの金融取引が2009年、世界で最も有利な投資であったと発表したことを31日付けフォーリャ紙が報じた。同年の株価上昇率は、82・7%で2003年の97・3%に次いだ。ドル通貨に換算した株価上昇率では、142・7%の上昇率を記録。ボベスパ取引の3分の2に当たる外国人投資は、現地通貨による配当の他にレアル通貨の高騰による配当33・9%も受領。ボベスパが世界から注目されたのは、世界に先駆けて金融危機を克服したためと見られている。
世界証券市場でのドル通貨による株価上昇率は、ブラジルに次いでペルーが116%、ロシアが113・2%、ノルウエーが104・5%、トルコが95・7%、アルゼンチンが95・2%などであった。
2009年は、金融危機の影響で営業益の算出が危ぶまれ、不確定要因に悩まされながら踏み出した1年であった。しかし、ルーラ政権誕生の2003年に次ぐ、好取引となった。
世界の主な仕手筋は、ブラジルの様子を見ていた。注目のBrics(ドル通貨でインド87・2%、中国79・2%)の中でも、ブラジルは際立っていた。
金融危機の克服に続き、ブラジルに運が回ってきた。内需拡大やコモディティ市場の回復、2010年度経済成長率5%から6%、レアルが単独で上がったというより、ドルの下落が著しかった結果のようだ。
レアル通貨による資産購入が、通貨の安全港であるとして国際資本が殺到した。2008年5月を底打ちとして、ヴァーレやペトロブラスなど優良株の買い時であったようだ。
2010年も好況が予想されるが、昨年と同じではないとボベスパはいう。2011年は、新しい局面を予測。ブラジルはいつの間にか、生産経済から金融経済へ鞍替えしつつあるのかもしれない。
金融アナリストは、多くの株は既に高値で取引されており、2010年でさらに値上がりするのは難しいという。後は、不況からの全般的な立ち上がりを待つしかないようだ。
それでも、ドバイのような国際金融の管理下にない突発的な危機がある。下半期には欧米の政策金利引き上げとブラジルの大統領選挙が、要注意とアナリストは警告する。