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ポール・クルグマン= NYタイムスが警告=米国は戦争で景気回復?

ニッケイ新聞 2010年1月7日付け

 ポール・クルグマン氏がNYタイムス紙に掲載した「1937年のあの感覚がいま蘇る」との論説を5日付けエスタード紙が転載した。
 1937年は、米国がGDP(国内総生産)は一見安定して経済成長が続きそうだと将来予測を見誤った年だ。ルーズベルト大統領は、これで恐慌に終止符を打ったと得心し、松葉杖を外した。数々の景気刺激策は中止となり、FRB(ブラジルの中銀に相当)が財政補強のため経済保護策を打ち出し始めた。公共投資を減額、増刷した通貨の回収を始めた。そのとたん、米経済は沈下を始めた。それで打ったのは、歴史に残る悲劇の一手、〃最大の公共事業〃といわれる戦争だった。
 現在のバーバンクFRB議長もロマー大統領経済補佐官も、過去の愚を繰り返さないと否定している。しかし、同氏には不安な予感がするという。不況が長期にわたると、病原菌が見えないところに潜むとも。
 同論説にはないが、この内容はブラジル経済の現状にも警鐘を鳴らしているように読める。不況の当初、企業は大量の在庫を抱えて生産を落としたが、在庫が減り、今は増産に入っている。これを景気回復と勘違いする可能性がある。この増産はIPI(工業税)減税による一時的現象に過ぎない。長期投資による消費者所得の増加という本物にはなっていない。本格的な景気回復かどうか、注意深く見守る必要があるようだ。

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