ニッケイ新聞 2010年1月7日付け
【トレド(ブラジル南部)=共同】1990年代のペルーで極左ゲリラ掃討作戦中の軍特殊部隊が市民計25人を虐殺した二つの人権侵害事件で、殺人罪などに問われた当時の大統領、アルベルト・フジモリ被告(71)の最終審で、リマの最高裁特別刑事法廷は3日、昨年4月の一審と同じくすべての起訴事実を認め、禁固25年を言い渡したと発表した。同判決が確定する。
フジモリ政権の強権体質を象徴する事件で、被告が起訴された7事件の中で最も深刻で量刑が重い。被告は2000年の失脚後、「訴追は反フジモリ派による政治的迫害」として無罪を主張したが、ペルー司法府の最終認定は被告の全面的敗北となった。
元国家元首の被告の事件は最高裁に設けられた特別法廷により、二審制で審理された。二審も一審と同様、主に大統領による軍特殊部隊への指揮命令権の有無と、被告の事件への関与を示す証拠の評価が争われた。
判決は、検察側の主張を全面的に受け入れた一審判決をほぼ踏襲し、被告は元側近を通じて軍や情報機関を支配、指揮し「自らが権限を乱用し『正犯』として犯罪を実行した」と認定。