ニッケイ新聞 2010年1月8日付け
昨年7月から聖南西のピニャール移住地に〃移住〃している、過激な発言で有名な天野鉄人氏。先日確かな筋から、彼がリベルダーデ駅横に所有していた土地を、中国人の大金持ちに売却したという話を聞いた。それで本紙新年号に出ていた広告「日系諸団体のみなさまへ リベルダーデに仮称『日本館』を建築する場合は、土地代金の半額200万~500万レアルを提供します」の資金的裏付けが分かった▼相変わらず箱物にこだわる天野氏に、あえて提案したい。もし、日系社会の将来を憂う気持ちが強いのなら、1千万レアル程度で〃天野基金〃を設立してもらい、その利子分(年間80万レアル以上)を、日系意識強化事業、日系史編纂、日系子弟向けポ語本出版(絵本や日本史など)、一般ブラジル人向け日本文化振興事業に投資したらどうか▼百周年の前、サンパウロ市には壮大な箱物構想だけは〃林立〃したが、どれ一つ実現しなかった。地方では後世に残るような立派な日本庭園があちこちに生まれ、鳥居も増えた。この反省にたって、箱物にこだわるよりもソフト(中身)重視に切り替えたらどうだろう▼10人程度の選定委員会を作り、全伯あまたの個人・団体から提案されるプロジェクトを検討し、そこから厳選したものに資金を投資していく。有能な才能、有意義な計画が発掘されるかもしれない。この選定委員会が日系社会の今後の方向付けを左右する、重要な役割を負うことになるだろう▼百周年事業の残った資金で基金を作る話は元々あったが、結局資金が残らず、今のところ夢物語だ。永続的に日本文化を振興する仕組み作りは、何よりも大切だ。(深)