ニッケイ新聞 2010年1月9日付け
【信濃毎日新聞】生徒数の減少で昨年末に閉校したブラジル人学校「コレージオ・ピタゴラス長野校」(上伊那郡箕輪町)の運営を元教員や保護者の有志が引き継ぎ、「長野日伯(にっぱく)学園」として再出発することになった。保育が必要な子どもの受け入れを6日に始め、12日からは小中高校の授業を再開する予定だ。存続を望む声が保護者から寄せられていた。元教員は「子どもたちの居場所を守りたい」と話している。
新たな学園は教員7人でスタートする。ピタゴラス長野校の校舎や備品を利用する。4日現在、高校生までの計31人が入学を希望している。このうち29人はピタゴラス長野校で学んでいた子どもで、残りは転入生だ。ピタゴラス長野校を経営していた「コレージオ・ピタゴラス」(本部・群馬県)から財政的な支援を受けたい考えだが、コレージオ・ピタゴラス側は「詳細はまだ話し合っていない」としている。
地理と歴史を教えるベルナデテ・ギマラエス・リマさん(50)によると、ピタゴラス時代、学校経営を軌道に乗せるために必要な生徒数は約120人だった。電光熱費だけで月11万円余りかかることから、3月まで教員は無給という。生徒を増やす努力を続ける一方で、自治体や企業などに支援を求めたいとしている。
リマさんは「この地域からブラジル人学校がなくなると困ると多くの人が協力してくれたので、頑張りたい」。数学とブラジルの伝統武術「カポエイラ」を教えるリマ・ウィルソンさんは「学校は勉強するだけでなく、友達が集まる場所。みんなで力を合わせたい」と話している。将来はNPO法人を設立して学園運営に当たる考えだ。