巡回写真展「日本の子ども60年展」開催中=時代反映した100枚=日系子弟のスライド上映も=文協ビルで17日まで
ニッケイ新聞 2010年1月12日付け
国際交流基金サンパウロ日本文化センター(内山直明所長)、ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)共催の巡回写真展『日本の子ども60年展』がブラジル日本文化福祉協会の貴賓室で4日から開催されている。
同写真展は2006年から、日本の文化、歴史を紹介する目的でアジアやアフリカ、中南米を巡回している。
写真展は戦後(1945年)から現代(2005年)まで、年代順に100枚を展示。子どもの日常を通して、日本社会の歩みを振り返る。
戦後の写真では、駐留米軍の靴を磨く子どもの姿(49年)や、紙芝居を見る子ども達(53年)の逞しい姿に、戦後復興の息吹をみる。
さらに時代が進むと、三重県四日市市で60年代を中心に発生した大気汚染による公害、「四日市喘息」をテーマにした写真(65年)では、工業地帯をマスク姿で登校する子ども達の姿も。
90年代は、鉢巻き姿で気合いを入れ、受験戦争に立ち向かう小学生(92年)、阪神大震災で倒壊した家屋に佇む少女の姿(95)、さらには髪を茶色に染め、日焼けした数人の若い母親がベビーカーを片手に談笑する姿(00年)も興味深い。
また、ブラジルのコロニアでの日系人の子供たちの生活を記録した大原春雄さん(1909―99)の貴重な写真61点が会場内のモニターが常時スライド上映される。
主に大原さん家族の写真で、農場で子どもが働く姿や、果物を収穫している様子から、開拓当時の生活を垣間見ることができる。
開催を記念し、8日夜に開かれた懇親会で、呉屋春美文協副会長は「60年の歴史を展示できて光栄です。昔の懐かしい頃を思い出していただく機会になれば」と挨拶した。
大原さんの3女・豊子さんは「優しい父で、とにかくどこにでもカメラを持って行く人。畑に出る時も欠かさなかった」と思い出を語った。
興味深げに写真を見ていた上野ヴィトリオさん(3世、57)は、「なかなか見られない写真なのでとても興味深い。昔の日本が分かるし、もっと知りたくなった」と感想を述べた。
写真展は文協・貴賓室(Rua Sao Joaquim, 381)で17日まで開催。入場無料。
問い合わせは同センター(電話=11・3288・4971または、3141・0843、3141・0110内線21)まで。