ニッケイ新聞 2010年1月13日付け
週後半も強い雨が予想されるサンパウロ州で、アチバイア、ピラカイア、ボン・ジュズス・ドス・ペルドインスの3市は、貯水池が溢れて水害が起きる危険性が高いと12日付エスタード紙が報じた。
雨の季節前から、全国的に貯水池やダムの貯水量が多く、水位の変化に注意が必要と言われていたが、サンパウロ州水道局は、カンタレイラ水系各貯水池の貯水量は安全基準以上の97・5%に達し、強い雨が降れば貯水池が溢れ出す状態だという。
同水系のアチバイア貯水池を例に挙げれば、先週の水流入は、毎秒33~70立方メートル。一方、水門開放による水の最大放出量は毎秒14立方メートル。強い雨が降り、大量の水が流れ込めば、水位が100%を超えて大量の水が溢れ出すのは目に見えている。
同地域も年末年始の雨で被害を受けた地域の一つで、5日にはアチバイア市役所が、水道局の放流によってアチバイア川が増水し、市内広域で洪水が発生と告発すると共に、警戒警報を発令。今も避難生活者がおり、爪痕は癒えていない。
その様な状況下で、アチバイアやサンパウロ市周辺で3日間に強い雨が降る可能性は90%との予報が出たのだからたまらない。
同日付フォーリャ紙では、サンパウロ州サンルイス・ド・パライチンガやリオ州アングラ・ドス・レイスなどでの被害報道に接した気象予報官の間に、焦燥感や無力感、動揺が広がっているとも報道。
どの地域に強い降雨や強風発生との予報は出せても、どの川が溢れ、どの地域で土砂崩れ発生といった予想は出来ないためだが、これまでに被害が出た、南大河州からサンパウロ州ヴァーレ・ド・パライバ地域には、今後も相当量の雨が降ると言う。
強い雨により貯水池の水位が更に上昇する可能性があるのは、ある意味でサンパウロ州全域であり、国内の広い地域でも同様。
国家水資源庁(ANA)によると、全国134の水力発電所ダムの76が水を放出中で、全国貯水池の半数以上が満杯かそれに近い。5日現在で11のダム中四つが安全基準を超えたサンパウロ州では、12月18日以降、貯水池の水放出も継続。それでも大雨で溢れる危険性の高い貯水池があるという事だ。