ニッケイ新聞 2010年1月14日付け
Ipea(応用経済研究所)は12日、2003年から2008年までにおける経済発展と社会福祉が継続されるなら、ブラジルは2016年までに飢餓線上の極貧階級を一掃することになると発表したことを13日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
極貧階級とは、1人当たり所得が月127レアル(4分の1最低賃金)相当で全国民の10%に当たる人たちをいう。ブラジルの社会福祉は、見るものがあった。1995年から2003年に、毎年0・8%の極貧階級が減少。2004年から2008年は、毎年2・1%減少している。
その間に所得の再分配政策が進展し、貧困の平均水準も浮上した。この情況がさらに6年続くなら、1人当たり所得が2分の1最低賃金である人は、現在の28%から4%に減る。これは先進国の水準に並ぶ。
底辺の人たちの生活水準を引き上げるのは、生活扶助金の供与という方法が採られ、目的は短時間に達成される。しかし、問題はこれらの人たちが引き続き社会疎外者であること。米国でも政府補助を施したが、半年後には元の木阿弥に戻り自助努力はない。
ブラジル地理統計院(IBGE)の調査によれば現在、世帯所得が2最低賃金以下は、48・9%いる。一方で30最低賃金以上は、26・3%いる。この所得格差は、食品や消費財に含まれる間接税が原因だ。
貧しい市民ほど間接税の高い商品を消費する。政府は右手で貧乏人を助け、左手で苦しめる。ブラジルでの所得格差は改善されてはいるが、急変することはなさそうだ。
ブラジルには、所得格差の他に社会格差がある。これは歴代にわたるブラジル社会の問題で、社会格差指数(Gini)0・515ポイントは、ボリビアの0・50ポイントより悪い。
これは各国の所得格差を1から0で示したもので、1に近いほど格差が大きい。それでも、1998年の0・567が、2007年には0・521、2008年には0・515と徐々に改善。更に改善するには、累進課税制度と貧乏人に優しい税制改革が必要だ。