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ル・モンド=ルーラの誠意に疑問=政治犯虐待は悪夢の歴史

ニッケイ新聞 2010年1月15日付け

 仏紙「ル・モンド」は13日、ルーラ大統領が「人権擁護国家計画」に内容も読まずに署名しメクラ判であると、国家計画の杜撰振りを批判と14日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
 ルーラ大統領は真相究明委員会を設立し、ブラジルの忌まわしい過去と対決し、かねて主張の民主政治の意義を高めるのかと、世界の注目を集めた。しかし、ジョビン国防相に簡単に丸められ、大統領令はメクラ判というルーラ政治の方便振りを仏紙が酷評した。
 仏紙の在伯特派員は、軍司令部が政治弾圧を部下の越権行為と理解していたと見ていた。真相究明委員会による軍政時代の虐待解明は、過激な軍批判であり歪曲された報復行為だと軍が趣旨を理解するに至った。
 ルーラ大統領は安易に署名したが、今度は大統領令が生み出す予期しない問題に取り組まねばならない。アルゼンチンやチリでも、真相究明委員会を結成し、情け容赦なく追求している。
 しかし、ブラジルにはフィゲレイド元大統領が制定した妙な特赦令がある。拷問致死による犠牲者の遺族は、事実解明で法的補償を求めている。遺族らはルーラ大統領に再々善処を求めたが、大統領は問題から逃げており、歴史に残る悪夢だとル・モンドはいう。