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管理の術も人もなし?=サンパウロ市ごみ条例は骨抜きに=有効な洪水対策打出せず

ニッケイ新聞 2010年1月16日付け

 市内の洪水発生が増加傾向にあるサンパウロ市で、ゴミ収集車が通る時間の2時間前まではゴミ出し禁止との市条例は、発効前に骨抜き状態と15日付エスタード紙が報じた。
 問題の条例はカサビ市長が7日に裁可したもので、ゴミ収集業者には道路毎の収集時間のサイトでの告知を義務付け、市民には、告知された時間の2時間前までのゴミ出しを禁じ、違反者には罰金を科すというもの。
 同条例は、ゴミ山積を防ぐ意味と、雨によって流されたゴミが、排水溝の口を塞いだりして水の流れを妨げる事による洪水回避を念頭に起草されたものだが、施行細則は雨の季節も終る4月決定となっていた。
 この条例実行には、市民の啓蒙と共に、違反の有無確認、罰則適用のためのフィスカルが必要だが、その絶対数が不足。
 更に問題となるのは、商店や事務所などのゴミ。営業・勤務時間中に収集車が通る場合は良いが、地区によっては、閉店時間後も居残ってゴミを出すなどの必要が生じるからだ。
 このため、夜間収集地区でのゴミ出しは18時から許可され、2時間以上前は駄目との規定適用外となる上、フィスカルが不足し、施行細則も決まらないままでは、少なくとも4月時点での罰則適用は不可能だ。
 14日フォーリャ紙によれば、04年作成、08年10月までに実行予定だったゴミ用コンテナ設置計画が機能していれば、降水時のゴミ拡散も防げたはずだが、市役所は経費を理由に無視し、新条例を作成した。
 8日付エスタード紙は、09年のサンパウロ市の洪水地点は前年比62%増の1422個所、集計開始以来最高だった05年比でも13%増と報道。9日付フォーリャ紙も、09年12月~1月7日の雨では、従来は水が溢れなかった道路など68個所も冠水と報じ、洪水被害は拡大傾向にある。
 カサビ市長は、東部の水害地域訪問の折、泥の上を踏んでみろと言われたまま退去。再訪問時も軽トラックの荷台から視察したが、行政側の本気の取組みがなければ、降水量も増えそうな今年、サンパウロ市の冠水、洪水地域は拡大する事だろう。条例や計画を作っても、画に描いた餅では仕方ない。