ニッケイ新聞 2010年1月16日付け
支援物資を届けようにも空港着陸不可で、引き返した飛行機が出るほど混乱中のハイチ。多くの国が一斉に支援物資などを送ろうとするため、空港の運用能力を超えたもので、緊急度の低い便には予定変更を求めるケースも出る一方、国内では「助かっても今度は飢えて死ぬさ」とうそぶく人も出、国連食料庫が襲われる状態。機材不足で救助作業が進まず、行われていないに等しいという声もあるが、生後2週間の赤ちゃん無事救出などの報道に安堵し、やっと探し当てた娘の変わり果てた姿を呆然と見つめる父親の姿に涙。ブラジル内には、飛んで帰りたいのに帰れないというハイチ出身者も多い。
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15日昼過ぎに、ハイチで負傷した国連平和部隊従軍兵16人が帰伯。兵士の一人は「何も出来ず歯がゆかった」と語るが、余りにも大きな自然の力の前で無力さを味わうのは、負傷して動けない人ばかりではない。生き埋めになった人の救出は72時間が限界といわれ、ジョビン国防相も行方不明の兵士4人は絶命と考えている。これに対し、経験上1週間までは可能性ありと、14日に自費で電動鋸持参で現地入りしたミナス州のブラジル人企業家も。救助活動に当たる人々の健闘と現地の治安、人々が希望を失わない事を願われされる。
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歌手のサンディが「ハイチ地震への反応は、国内災害以上に迅速で大きい」と発言し、物議も醸し出したが、サンパウロ州のサンルイス・ド・パライチンガとリオ州イーリャ・グランデでは14日、行方不明者各一人の遺体が発見された。災害からは2週間を経ているが、イーリャ・グランデの遺体は巨石の下敷きとなっているらしく、遺体を傷つけずに回収するには、更に時間が必要だそうだ。