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ハイチ地震=秩序回復で伯米任務分担=ブラジル防相復興再建を提案=平和部隊の長期駐屯も=暴徒化で無政府状態

ニッケイ新聞 2010年1月19日付け

 アモリン外相は17日、ハイチ共和国の首都ポルトープランスで震災後、市民が暴徒化したことから国連派遣の伯米平和部隊は8カ国の救援隊、国連、米州機構の協力で秩序回復の指揮を採ると発表したことを18日付けエスタード紙が報じた。同外相はクリントン米国務相と電話会談で伯軍が治安支援、米軍が医療支援、国連が統合管理をと打ち合わせた。ハイチは、混乱から無政府状態と化した。国連安保理は18日、ハイチ駐留各国軍部隊の展開について討議に入る。

 ジョビン国防相は16日、ブラジル派遣の平和部隊が治安維持のため5年位の長期駐屯を必要とするとの見通しを述べた。また治安維持だけとするブラジル軍の任務を、ハイチの復興再建まで拡大することに言及と17日付けフォーリャ紙が報じた。
 これまで救援物資の配給法や空港の利用で、米軍の一方的采配に伯軍の不満が生じていた。それを外相会談で、両軍の縄張りを明確にした。ハイチ派遣の伯軍は1266人いたが、地震により16人が死亡、行方不明2人、帰国した負傷者16人となっている。
 米国務長官は、ハイチ政府から白紙委任状を受け取り、国連派遣部隊7千人の指揮を依頼されたことを明らかにした。犠牲者が瓦礫の下で助けを求めるとき、救援司令部は段取りのことで喧嘩をしていたようだ。
 ハイチ空港が機能不全のため救援物資は、ドミニカ空港へ一度下ろし、ハイチへ陸送する。その陸送段階で、暴徒の略奪が起きている。
 米対伯研究所のウドロー・センターは、次のように伯米関係を見ている。ハイチ地震は、オバマ米政権の腕の見せ所であり、伯米両国がヨリを戻してハイチ再建に取り組めるかを試すチャンスとなったという。伯米両国は、ハイチにとって遠くの親戚より近くの頼りになる他人といえるからだ。
 ハイチ救援活動は米軍が空港を占拠し、救援物資や救助隊員を積載した他国の輸送機その他を、上空で長時間旋回させた。同地域はハリケーンなどの自然災害が多いことと自国の出稼ぎが、米国の世話になっているので腐れ縁がある。
 米政府にもハイチ地震を機に同地域の主導権を握り、ブラジルの影響力を軽減したい思いがある。米国の経済力低下と米保守派の台頭が、米政府の力を弱めている。
 そこへ来てブラジルのハイチ再建提案は、時宜を得ている。10月に駐留任務を終える予定だった平和部隊に5年の駐屯延長が実現すれば、伯建設業者の進出や技術要員出向の可能性も出てくる。