ニッケイ新聞 2010年1月19日付け
チリ大統領選で中道右派のセバチアン・ピニェラ氏とエドゥアルド・フレイ元大統領が決選投票で競い、改革を旗印に20年間続いた中道左派連合の敗退で、同国の左派時代に終止符を打ったと18日付けフォーリャ紙が報じた。
99%の開票が終えた時点でピニェラ氏が51・61%を獲得、左派連合の48・32%を僅差で破った。ピノチェット独裁政権の後、改革を謳った左派連合も政権の座を右派へ譲った。
任期は4年、3月11日就任。これで中南米に生まれた新たな右派の流れに、拍車がかかりそうだ。国民は改革に疲れを見せる左派政権よりも、右派の個性的な能力に期待を寄せたようだ。
ピニェラ新大統領は、資産10億ドルを有すチリ屈指の事業家。航空会社やサッカー・チーム、TV放送局を経営。左派政権が改革に労した努力は評価するが、これからはそれに対話と合意が加わるという。
同新大統領が資産を築いたのは80年代、クレジット・カード導入で先駆者の利を得たようだ。対話のない独裁政治には反対。軍政の協力者狩りと処罰を行うことも公約し、軍政と右派政治の間に一線を画した。
左派政権が専売特許のように行った社会福祉は継続するが、早急な改革を避けるという。チリの経済発展を優先する、無理のない甲羅に合わせた社会改革であるべきだと同新大統領は主張。
チリ国民は、右派独裁も左派政治も拒否したようだ。調査によるとフレイ候補は貧困地域や低学年層で勝利、ピニェラ候補は高学歴と中流以上で勝利した。これが、新しい中南米の流れという調査結果の見方だ。