ニッケイ新聞 2010年1月19日付け
日本には「武器輸出3原則」という厳しい規定がある。佐藤栄作首相が共産圏や紛争当事者国と国連決議で禁止した国々には武器を輸出しないと決定したものであり、これはこれで意義があった。ところが、三木武夫内閣になると、いかなる国にも輸出を禁止するとしたので日本の兵器産業はお手上げになり現在に到っている▼これはいかに何でもおかしい。麻生政権の有識者懇談会も、3原則の見直しを報告している。将に正論であり、よく説明すれば国民も納得する。この3原則は戦後の平和好き国家を象徴するものだろうし、恐らくーこんな規範を持つ国は日本だけではあるまいか。日本の兵器技術は、超一級には遠いにしても水準は高い。護衛艦(駆逐艦)などの建造は一流だし、他にも優れた武器はいっぱいある▼だがー輸出が禁じられているので国産の兵器は「自衛隊専用」になっており、価格がべらぼうに高くなっている。米ロを始めブラジルと北朝鮮や韓国も武器輸出国なのであり、大義からは許せないにしても、実際には高度な武器や銃器の取引が行われているのにもっと目を向けたい。このような国際的な動きに刺激されたのかー北沢防衛相が「3原則見直し」を言明したのは喜ばしい▼尤も、首相は「口が軽い」と苦言を述べている。それと集団的自衛権の問題も解決を急ぐべきだし、これらは憲法改正にまでいかないと解決は難しいのだが、少なくとも日本の安全保障についてもっと抜本的な議論を進める必要があるのではないか。防衛相発言がその契機になれば真に幸いなのだがー。 (遯)