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フィナンシャル・タイムス=BRICsは体だけ、中味未熟=協調体制が課題=覇権のバトンタッチなるか=質的向上が必要

ニッケイ新聞 2010年1月20日付け

 英紙フィナンシャル・タイムスが組んだ特集連載「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は国際経済をけん引するか」をエスタード通信が分析した記事を配信し、19日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙などが掲載している。これによれば、各国の特徴は相違が大きく、共同歩調を採らないと機能しないと論じている。「同4カ国が協調できるなら、素晴らしい力を発揮する。しかし、それぞれは個性が強すぎて、平穏な協調体制が期待できないだろう」という結論だ。

 新しい世界のリーダーとして期待される4カ国は、米国をさしおき、国際市場を山分けすることになると見ている。この10年間、4カ国の成長は世界を驚かしてきたが、覇権を手にするには質的な向上が必要だとする。ゴールドマン・サックスは2030年までに中国が世界最大の経済になると予測している。
 当面は、良くても悪くても、ブラジルが農業立国。中国が世界の工場、インドがソフトウエアとサービス王国、ロシアがエネルギー国家という同誌の見方となっている。
 BRICsは、ここ数年目覚しい経済発展を遂げたが、グローバル経済の舵取りにはまだ未熟だと見ている。理由は協調性を欠くこと。過去10年の急成長振りだけで、米国からBRICsへ覇権のバトンタッチをするわけに行かないという。
 図体だけが大きく成長するのではなく、性質や中味も成長する必要がある。それから初めて、覇権の伝達ができる。
 BRICsの世界との通商総額は米国を凌駕し、国際金融でも2009年末までに4カ国で発行された株券は、2005年発行株券の倍額することを認知している。10年前には1国だけが投資適格だったが、現在では全てだ。
 12年前は、ロシアのモラトリアムやブラジルの通貨危機が、世界を震撼させた。それが今は、それらの国々が世界外貨準備の大部分を握っている。国際経済の重心は、新興国経済に掛かりつつある。世界の枢軸はBRICsへ移りつつある。
 しかし、グローバル金融の柱をBRICsに打ち立てるのは、まだ早いと同誌はいう。BRICsは、調子外れの楽団。共通点より相違点のほうが多い。それはブラジルの産業形態でも同じ。大手と中小零細の補完関係がない。ハイテク農業技術を持ちながら、国策になっていない。
 BRICs会議が催されるが、国際的地位の確保だけで、共通の問題を討議しない。例えば、為替問題で中国とブラジルが話し合い、連帯の旗を掲げるなら、両国はさらに豊かになり、世界の覇権国家を形成できる。