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国際貿易=10年は決戦の年=米の失地回復EUは愚考

ニッケイ新聞 2010年1月20日付け

 経済評論家のアウベルト・タメル氏は16日、ブラジルが米国市場の失地回復をEUに求めるのは無駄足であると次のように述べたことを17日付けエスタード紙が報じた。
 ユーロ圏は昨年の第4四半期、GDP(国内総生産)がリセッションの様相を呈した。ドイツが昨年同期比でマイナス5%、英国がマイナス4・7%、フランスがマイナス2・2%。そして2010年の経済成長率予想が、0・5%。
 過去12カ月の貿易赤字が、1090億ドル。これでは補助制度を強化し、貿易交渉など臨む余地がない。ユーロ圏各国は、景気対策を知らない。財政面でも債務過多で逃げ道がない。残すは輸入品消費を控えて、輸出に励むしかない。
 そんなユーロ圏を相手にするなら、新興国に力を入れたほうがよい。ユーロ圏はブラジルが想像するより事情が悪く、まだ底打ちしていない。政府が打ち出す景気対策は、消極的で一時的。すべきことはやり尽くし、残る弾薬は殆どない。
 EU経済は、輸出一辺倒であったからだ。まだ売り込めそうな国は、ブラジルか中国、インドしかない。だからEUで米国市場の代替と思ったら、大間違い。
 ブラジルのEU向け輸出は昨年、25・8%減。対EUで入超となっている。この情況は、今年も同じ。EUも米国も輸入を極力抑え、輸出に狂奔している。先進国は、どこも同じ。
 EU政府が経費は爪に火を点し、国内需要の拡大で危機突破というが、贅沢に慣れた先進国の消費者は、生活スタイルの変更が簡単ではない。
 政府は減俸にしても、従業員解雇をしないよう拝み倒す。いつ失業するか分らない従業員は、三度の飯を二度に切り詰める。これでどうして内需拡大ができるか。
 フランスだけは、ブラジルと軍事協定を結んだので少し明るい。それ以外は、夢も希望もない。一方ブラジルは、内需拡大を口にするなら、為替とブラジル・コストの問題を解決すべきだ。
 それでも米国の失地回復をEUに求めるなら、虐待を覚悟すべきだ。ドーハ・ラウンドの敵は、米国だけではない。EUもそれに劣らず悪質。それでも中国は、ブラジルが撤退した跡の欧米市場を席巻した。
 2010年の国際市場は、最悪の保護貿易市場になると同市は予想しており、それを乗り越えるには、強引な交流術が必要になると見ている。

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