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10年経常収支=経済始動が予想以下=インフレのみ昂進、景況低調

ニッケイ新聞 2010年1月21日付け

 景気回復が期待された2010年だが、予想した情況に至っておらず、通貨政策委員会(Copom)が4月に予定していた政策金利(Selic)引き上げは怪しくなってきたと19日付けエスタード紙が報じた。
 1月15日のFGV(ジェットゥリオ・ヴァルガス財団)のINPC(消費者物価指数)は、0・78%、前回の0・51%より上昇している。1月末には1%に達するとさえ見られる。
 インフレ率上昇は10年当初のコモディティ相場の上昇と通貨の変動という2つの要因を反映したものとされる。コモディティ上昇は、何カ月かにわたって物価上昇を招く。通貨の変動は政府が、ソブリン・ファンドで外貨購入を決定したことによって起きた。
 この2つの要因は、金融危機で世界的に需要が減退した昨年とは、反対の現象を引き起こしている。同現象が長く続くなら、中央銀行は上半期末に政策金利の引き上げを行うと見られる。
 為替情況は、誰もが心配している。しかし、現在の外貨準備高は長期的に維持されるものと思える。1月初めの2週における貿易収支は18日、輸出は前月比24・8%減、輸入は前月比5・9%増と発表。貿易収支は9億6700万ドルの赤字、前月同期比で197・3%減だ。年間見通しは、横ばい予想だ。
 中銀のFocus調査では予想された結果だというが、2010年は107億5千万ドルの貿易黒字を期待している。4週間前には113億ドルの貿易黒字を期待していたのに萎んでいる。
 これにより、2010年の経常収支は455億ドルの赤字予想となり、4週間前の403億ドル赤字との予想が下方修正された。さらに2011年は、550億ドル赤字に達するのではないかという悲観的見方だ。
 この悲観的予測は貿易赤字だけでなく、さらなる直接投資を呼び込むための利益送金や配当金の送金なども含む。ここでも昨年とは反対の現象が起きているのに、経常収支の赤字を埋める算段が政府当局にない。
 政府は年末から来年にかけて、借金の金策に走り回らねばならない。公債の配当金は、大きくふくれ上がるので中途半端な金額ではない。